東京都内で働く宅配バイク乗務員の安全運転技能向上を狙いにした競技会形式による交通安全教育の催し「第17回デリバリー業安全運転競技会」が、2020年11月25日、警視庁交通部と全日本デリバリー業安全運転協議会(SDA)の主催で、東京都世田谷区の警視庁交通安全教育センターを会場に開催。参加した乗務員たちが日頃の講習会や研修会、業務で培った安全運転技術を披露した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で在宅勤務や会食自粛が増えたことにより、宅配へのニーズは高まり、宅配バイクによる業務は活発になっている。それだけになおさら、乗務員の交通ルール順守と安全運転技能向上を図るこの大会が、より一層重要な行事であることがうかがえた。
画像: デリバリー関係企業の乗務員代表らが日頃の安全運転技術を競った

デリバリー関係企業の乗務員代表らが日頃の安全運転技術を競った

宅配バイク コロナ禍で活動活発

同競技会は、デリバリー業界の交通安全意識および安全運転技術の向上を目的に2004年から毎年開催されているもので、今回で17回目。主催は警視庁交通部と、デリバリー関係企業の宅配バイク乗務員の交通安全教育を行っている全日本デリバリー業安全運転協議会(SDA/正会員10社・賛助会員41社、淺野秀則理事長)の2者で、東京都交通安全協会の後援を得て行われている。

この競技会は、毎年夏に行われていたが、20年は11月25日に延期。コロナ禍での自粛生活の増加に伴いデリバリーへの需要が高まってきていることもあり、乗務員の安全運転の意識と技能のより一層の向上を図ろうと、感染拡大防止対策が徹底された上で開催の実現をみたもの。

安全運転 一層重要に

競技会に先立ち開会式が行われ、主催者を代表して、警視庁交通部からは交通総務課の功刀正樹交通安全担当管理官が、SDAからは村川淳一理事がそれぞれあいさつ。

画像: 警視庁交通総務課の功刀管理官

警視庁交通総務課の功刀管理官

画像: SDAの村川理事

SDAの村川理事

功刀管理官はあいさつの中で20年の交通事故情勢について触れ、その中で二輪車乗車中の交通事死亡事故の特徴について、「分離帯などに衝突する単独事故や、直進二輪車に右折対向車が衝突する右直事故が多い」と述べた上で、プロテクター着用とヘルメットの正しい着用の重要性を指摘した。

そして出場選手には「模範運転者としての心構えと優れた運転技能を身に付けた各社の代表として、この競技大会を通じ、より一層安全運転の基本を見つめ直し、常に自らが模範運転に努めるとともに、同僚の方々にも安全運転を呼びかけてほしい」。さらに共催者のSDAに対しては、「各会員会社での従業員の安全運転意識を高めてほしい」と、安全運転普及活動へのより一層の協力を求めた。

SDAの村川理事は「コロナ禍が収まりきらない中で今回、大会を開催させてもらうことになった」と警視庁と東京都安協、東京二輪車安全運転推進委員会への感謝の言葉を述べた上で、「コロナ禍で自宅にこもっている人が多く、デリバリーへのニーズはますます高まっていると思う。皆さんは優秀な指導者でもあるので、この大会を機会に、お店の看板を背負っているという気持ちで、デリバリー業界全体の安全運転管理体制の向上に努めてほしい」旨を述べて激励した。

企業イメージアップにも

出場選手は、SDAに加入している会員デリバリー企業から推薦を受けたデリバリーバイク乗務員。今回参加した企業は(カッコ内はチーム名)▽ストロベリーコーンズ(ナポリの窯)=2チーム▽セルート(セルート)=1チーム▽フォーシーズ(ピザーラ)=1チーム▽ライドオンエクスプレスホールディングス(銀のさら)=2チーム▽ワイズテーブルコーポレーション(サルヴァトーレクオモ)=2チーム──の5企業・8チーム。全29名の乗務員により競われた。

競技は▼法規学科テスト(15問・10分)▼法規走行競技(法令を遵守し、安全かつ円滑に走行する能力を審査)▼中低速車両感覚走行競技(車両感覚を把握し、車両特性に応じた走行や安全で的確に操作する能力を審査)──の3項目を審査。選手らは日頃の業務や講習会、研修会で培った自身の安全運転技能を確かめるように競技に臨んだ。

画像: 法規学科テスト

法規学科テスト

画像: 法規走行競技

法規走行競技

画像: 中低速車両感覚走行競技

中低速車両感覚走行競技

この後、表彰式を開催。団体部門の成績は、チームの平均点で競われ、上位1~3が決定。個人部門では、各選手の総合得点上位1~6位が決定。団体部門優勝はピザーラチーム、準優勝には銀のさらAチームが、3位にはナポリの窯Aチームが入った。

最後に閉会式が行われ、警視庁交通部交通総務課交通安全教育係の柴崎明係長と、SDAの宮下雅光副理事長があいさつ。

画像: 警視庁交通安全教育係の柴崎係長

警視庁交通安全教育係の柴崎係長

画像: SDAの宮下副理事長

SDAの宮下副理事長

柴崎係長は大会の講評を行うとともに、「交通法規をしっかりと守れば企業イメージも上がる。今日学んだことを各社の社員一人ひとりに広めてほしい」と求めた。

最後に宮下副理事長は「我々SDAは、安全安心、心温まる商品をご家庭にお届けするために最も重要なのは、どんな状況でも、コロナ禍でも交通事故撲滅で、いかにして安全運転教育、啓蒙活動をしていくかであり、日々取り組んでいきたい」「選手の皆さんは、今日の競技大会の経験とスタントマンによる衝撃的な交通事故再現について、各店舗に帰って安全運転の語り部として活躍してほしい」と締めくくった。

大会成績(敬称略)

▼団体部門①ピザーラチーム②銀のさらAチーム③ナポリの窯Aチーム
▼個人部門①居林哲平(ナポリの窯Aチーム)②岸田修一(ピザーラチーム)③赤塚恭平(ピザーラチーム)④小友俊樹(銀のさらAチーム)⑤松本健太(ピザーラチーム)⑥大目颯真(セルートチーム)

画像: 団体部門優勝のピザーラチーム

団体部門優勝のピザーラチーム

画像: 個人部門優勝の居林哲平選手(ナポリの窯Aチーム)

個人部門優勝の居林哲平選手(ナポリの窯Aチーム)

三輪バイクで事故再現

デリバリー業安全運転競技会の競技日程終了後には今回、スタントマンによる原付三輪バイクを使ったスケアード・ストレイト方式(事故再現)の交通安全教室が開催された。

会場では、飛び出してきた自転車とバイクとの衝突、飛び出してきたバイクと四輪車との衝突、左折トラックによるバイク巻き込み、直進バイクと右折四輪車との衝突など、衝撃的な様々なシチュエーションの交通事故をリアルに再現。選手らは真剣な眼差しで見入っていた。

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