「見て下さい。自分で仕上げたんですよ」と、両手の爪すべてに施された〝インディアン〟のネイルアートを見せてくれた植田さん。先日開催された大阪モーターサイクルショーの同ブランドブースで、取材に応じてくれたときのひとコマだ。両手を使って左右に施したそうで、インディアンの欧文ロゴもしっかり表現され手先の器用さを感じさせる。小さいときから絵を描くのが好きで専門学校にも通い、前職はグラフィックデザイナーだったという。
「デザイナーとして勤めていたのですが、ずっと机に座って仕事をしていて、少し合わないなと思い始めて……。それから身体を動かす仕事をしたいと思って今の会社を紹介してもらいました」と、振り返る。
二輪車へのきっかけは、免許を所有する両親からの薦めもあり18歳で普通二輪免許を、3年後には大型二輪を取得したという。初めての愛車はヤマハの『ドラッグスター400』で、2台目はハーレーダビッドソン(HD)の『XL1200X』。いずれも現在所有中だ。免許を取得した日はどちらも誕生日と同じ“11日”だったという。「狙ったつもりはないのですが、両方とも11日でした」と彼女のコメント。ちなみに彼女は他にも数字の“11”に縁があるのだが……それは彼女に会って聞いてみるといいだろう。
2台目のXL購入のエピソードがユニーク。購入は運命的だったという。「XLの実車は前後のフェンダーが黒で、タンクのみが白でしたが、その配色にひと目ぼれしました。手に入れようと思って、何度も近くにあるHDのお店へ足を運んで悩んでいたのですが、実際に購入するのはまだ先と思っていました」
「ところがある日、店頭へ行くと欲しかったそのXLが先約のキャンセルで展示されていました。お店の人にも『すぐに納車できる』と言われ、運命を感じて契約書にサインしました」と笑う。
そうして手にいれたXLだが、実は今の仕事に就いたのもこの車両のおかげだという。
「店舗には頻繁に来店して、担当者にはプライベートなことも聞いてもらっていました。そのうちに『未経験だけどクルマやバイクの営業をしたい』と、転職の相談をしたところ、店舗と縁のあるインディアンモーターサイクル神戸で人材を募集していると教えてもらい、応募して入社しました」という。
「ここで購入したいと思っていただけるように」接客
そして、入社1週間ですぐに1台を販売。さらに1カ月の内に4台も販売。1週間で1台を販売している計算だ。営業スタイルを聞くと「お客様とは積極的にコミュニケーションを取るようにしています。まだ車両のスペックや技術的な所はスタッフからのフォローがあるけど、今後は自分で完結できるようになりたい。新車の正規販売店では、どこで買っても品質は同じです。でも、他ではなくここで買いたいと思っていただけるように努めています」と話す。
仕事で一番嬉しかったことを挙げてもらうと「初めて自分ひとりの力で車両を販売したときです。最初は購入に迷っていましたが、商談をしていくうちに購入を決断してくれたのが嬉しかったです」と続ける。ちなみに入社後に販売した4台は、全て1回の商談で購入してもらえたとか。
日々新しいことを覚えていかないといけないので、大変ではあるが、知識が増えていくのは嬉しいとも。また、会社も仕事を丁寧に教えてもらってくれるので、のびのび楽しく仕事をさせてもらっているそう。
インディアンモーターサイクルで一番のおすすめモデルは『スカウトローグ』で、ブラックアウトされた車体が格好良くて、車重も軽く小回りも効いて足付き性も良いので老若男女問わず乗ってもらえる車両だと話す。
今後の目標を聞くと「年間50台を販売したいです。達成したら自分へのご褒美としてマツダ・サバンナRX-7(FC3S)を買いたいです。『頭文字(イニシャル)D』に最近ハマって格好良いなぁと思って。古いクルマが好きなんです」と笑顔で話す。
将来は自分のお店を持ちたいという植田さん。今後がますます楽しみである。
◆インディアンモーターサイクル神戸(テイク・ジェー)
▽所在地=兵庫県西宮市下大市東町16-27
▽営業時間=10時~19時
▽定休日=火、隔週水曜日
▽☎0798・54・7858
https://www.indianmotorcycle.kobe.jpn.com/