ショー開催2日目の9日(土)に行われた同企画は、中央ステージで開催。愛知県のラジオ放送局・ZIP-FMのナビゲーター荒戸完氏を司会にホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内二輪車メーカーの開発部門に在籍するメンバーが集まった。
本田技研工業からは二輪・パワープロダクツ事業本部、ものづくり統括部完成車開発部エグゼクティブチーフエンジニアの石川譲氏。ヤマハ発動機からはPF車両ユニットPF車両開発統括部SV開発部長の森秀市氏。スズキからは二輪事業本部二輪技術部部長の田中強氏。カワサキモータースからは技術本部第二設計部部長の真野芳文氏が出席した。
最初に自己紹介とともに自社で発売している車両や開発場所・生産地のほか、企業フィロソフィーなどを紹介。会社での役割や日頃の業務なども述べた。トークショーでは会場に集まった高校生から事前に質問を募り、それを開発者が答える形式で進行。
『バイクの楽しさとは』という質問では、石川氏は「行動範囲が拡がる。全身を使って乗るので、操る楽しみを覚える乗り物」と回答。森氏は「乗り続けることで自分が上手に乗れていく。それを体感できる」。田中氏は「所有感もあり見ているだけで楽しい。昔のスズキの油冷フィンなんかは見ているだけでたまらない」とコメント。真野氏は「走っている感覚がダイレクトに味わえる。それとカスタムが楽しめる」と述べ、所有だけではなく乗ることやカスタムへの楽しみがあることを語った。
続いての質問は『もし法律や環境規制がなければどんなバイクを造りたいか』で、石川氏は「規制があっても昔の車両と同じ出力が達成できる」と現在の技術開発が優れていることを訴求。森氏は「シンプルでミニマルなバイク。400~500ccくらいで購入しやすいバイクを提供したい」と回答。田中氏は「本当に速いバイク。でも、あんまり速すぎて誰も乗れないだろう」と笑いを誘った。真野氏は「ミニ四駆のようにフレームやホイール、ギアなど自分好みにカスタマイズできる専用のバイクを作りたい」と、開発者らしいコメントが出た。
後継機種の開発時の苦労話も披露。石川氏は「CBR1000RR-Rファイヤーブレードの開発時に初代(CBR900RR)の開発者と話をしたけど、実は初代開発時も同じ事をチームメンバーに伝えていたことを知った」と、歴代で同じ開発思想を持っていたエピソードを披露。森氏は「FJR1300の後継機種を開発する時、既存オーナーが持つイメージを壊さないようにさじ加減が難しかった。SR400も同様に難しかったと聞く」と、同社で40年以上の歴史を持つモデルにも言及。田中氏は「(現行)隼のスタイリング。ひと目で隼と分かるスタイルにしなければいけなかった。デザイナーが本当に頑張ってくれたと思う」とコメント。真野氏は「ニンジャ250をどう正常進化させるか。ユーザーの声を裏までくみ取ってどのように反映させるか、もの凄く苦労した」と述べた。
終盤で「二輪車の将来はどうなるのか」という質問に森氏は「バイクは環境にやさしいエコな乗り物。残り続けるし、残していかないといけない」と述べ、田中氏も同様に「今のままでは難しいだろう。でも、二輪車は残していきたいし残さなければいけない」とコメント。真野氏も「二輪車の本質は不変。今後、動力源は分からないけど技術は無限。ブレイクスルーはあるだろう」と語った。
最後に高校生へ向けて送る言葉として、石川氏は「夢をしっかり持って頑張って下さい」。森氏は「今の時代はSNS(会員制交流サイト)などが発達しているが、それだと知っただけになる。体感が大事。二輪車免許を取得してバイクに乗って楽しんで欲しい」。田中氏は「仕事のスキルは会社に入ったら身につく。それよりも探究心や向上心が大事。何より好きであることが大事」。真野氏は「やりたい事を見つけてください。見つけたらとことん好きになってください。好きであれば壁があっても乗り越えられる」とエールを送った。