千葉県君津市で、二輪車向けのトレーニング施設を開催していたモトミックススクールがこのほど「モトミックス・アドベンチャー・プレイグランド」にリニューアル。アドベンチャーモデルのオーナーに特化した『ファンライドトレーニング』(F・R・T)をスタートさせた。

同施設は2020年8月に安全運転スクールを開校したが、コロナ禍で1年間休業していた。運営者である㈱内藤技研の内藤学氏はアドベンチャーモデルの“市場の熱量”を感じ、以前から親交のあったモーターサイクルジャーナリストの松井勉氏に二輪車ユーザーに向けた新たな取り組みが出来ないか相談をしたところ、今回のF・R・Tに繋がり、再始動することが出来たという。

画像: 講師を務める内藤氏(左)と松井氏

講師を務める内藤氏(左)と松井氏

内藤氏はハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)で、サービス部門の各種システムやマニュアル作りなどを行う部署に所属した後01年に独立。その後もHDJのブランドトレーニングやメカニックの育成、イベントなどで安全運転や応急手当関連のほか、ハーレーライダーのパーソナルトレーニングを行うなど広く活動している。

モトミックスの由来について内藤氏は「20~40代のライダーと同じ目線で本音の話し合いをした時に、年配者からいわゆる“マウント”があることを聞かされた。どんなバイクでもオーナーにとっては掛け替えのない1台だ。そこで、ライダーの世代やブランド、排気量など偏見のない全てのバイク好きのボーダーレスを実現したいという思いを込めて、彼らと共にネーミングした」という。

画像: トレーニングの実技では低速スタンディングで8の字走行を反復走行

トレーニングの実技では低速スタンディングで8の字走行を反復走行

習うより慣れろは、上達に大切な基本を見逃す

場所は以前と同じ、元都立高校の林間施設を利用した約2万6500㎡(約8000坪)の敷地に林間トレイルコースや200mのオーバルコース、障害物を設置したセクションなどテクニカルなコースを設置。建屋内も従来から充実させて、二輪車の初心者向けのトレーニングやメンテナンスに必要なワークショップなど二輪車ライフを学べる施設となっている。

学校の施設を利用した経緯として内藤氏は『バイクを活用した地方創生事業』であると説明する。「全国には廃校や使われなくなったレジャー施設が沢山ある。そこで若い人がバイクを学びライダーが集う場所ができれば、地元の人たちと一緒に仕事が出来て雇用が生まれる。当地もバイクの学校にしようと集まった仲間たちだけでなく、10代の多感な若者たちも加わり、コース整備や草刈りで汗を流して『初めてのバイク体験』を無償で提供している。
“モトミックス”というスタイルはここだけで終わらせない」と熱意を込める。

今回のF・R・T開催に向けて講師を務める松井氏は「大型自動二輪免許が教習所で取れるようになって四半世紀が経ちました。今では販売店等の試乗会でオフロード走行をする機会も数多くあり、そこで初めて大型のアドベンチャーモデルで走るのが主流になりつつあります」

「以前、バイクの運転は習うより慣れろ的な“流れ”がありましたが、それだとバイクの運転の上達に大切な基本を見逃す例も多く、さらに車格の大きなアドベンチャーモデルには通じない部分があります。そのことからバイクの理屈や構造そのものを理解したほうが乗れる近道だと考えました。それがF・R・Tを始めるきっかけです」と述べる。

画像: 座学では二輪車の理屈や構造などをレクチャー

座学では二輪車の理屈や構造などをレクチャー

22年2月には初めてのF・R・Tを開校。埼玉県越谷市の輸入二輪車販売店の『原サイクル』が、同店の顧客に向けた独自のイベントとして開催した。5月には2度目のトレーニングをスタート。同イベントに本紙が同行取材した。

トレーニングは座学と実技で構成。座学ではサスペンションの動きが分かりやすいオフロード車を使った着座位置の説明や、車体を傾けると自然にその方向に前輪が切れる“セルフステア”など、二輪車の操作を理解することを中心に講義。

実技ではウォームアップを兼ねて、参加者全員が8の字や円を描くように走行。その後は初心者向けの基本コースと、中・上級者向けのコースに分かれてスタート。

基本コースでは内藤氏が参加者の走行シーンを動画撮影、その様子を自身が見たうえでアドバイス。自身の動きを知ることで理解を得られやすくなっている。その後は参加者同士が車座になり自己紹介や愛車の履歴などをお互い話すことでコミュニケーションを深めていた。

中・上級向けのスキルに応じてオフロード経験のあるライダーは松井氏が担当。砂利道を5~10km/hでスタンディングで走るレッスンを行っていた。なお、午前と午後を通じて行われるトレーニングでは、近隣にあるリゾートホテルにおいて地元で取れる食材を使った料理でランチタイムを過ごし休憩できる。

画像: 林道コースでは目線に注意するようにアドバイス

林道コースでは目線に注意するようにアドバイス

午後には初心者向けでも砂利道での8の字走行やスタンディングなどをトレーニング。中・上級向けでは、落差のあるダウンヒルや小高い丘を越えるヒルクライムのほか、木立の中を走る林道コースなどを設定。林道コースでは走行時の目線を目の前ではなく、遠くに設定して走ることで、安定した走りができることをレクチャーしていた。

「中身の濃さ」「少人数ならではの良さ」追求

講師の松井氏はトレーニング効果として「地味なライディングに見えるけど、習得しておくことで、狭い林道や迂回するような悪路でも確実に走破できるようになる。また、低い速度で走ることで理解を得られやすくしています」と説明

内藤氏も「松井さんの豊富な知識と経験が詰まった中身の濃いトレーニングプログラム。メカニズムを頭で理解して身体で実践、それを繰り返すことでライディングテクニックの体得を目指している。参加人数も極力抑えており、充実した実体験のほか、受講中に他の人の走りを参考にできるなど少人数ならではの良さを追求している」と述べる。

DCT機種の参加を歓迎

ところで最新のアドベンチャーモデルでは、自動でギアを変速するDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を搭載した機種が台頭しているが、DCTはアドベンチャーライディングと親和性が高いと松井氏は強調する。
「以前に海外でDCT車を試乗したが、人がクラッチを操作するよりも早く正確に電子制御で変速してくれるので、メリットは大きいです。また、クラッチ操作やシフト操作を行う必要がなくなる分、ポジションの自由度も増やすことができます。そこが大きなアドバンテージでもあります。DCTモデルの参加者には特性を説明し、DCTならではの走り方をレクチャーできると思います」と述べ、DCTモデルオーナーの積極的な参加を促した。

画像: トレーニング終了後には参加者全員が満面の笑顔。右は講師の内藤氏

トレーニング終了後には参加者全員が満面の笑顔。右は講師の内藤氏

内藤氏は「F・R・Tはオンロードタイヤでも参加できる『BASIC』と、オフロードを楽しみたい『FUN』、もっと遠くに冒険したい『アドバンス』と、ライダーのスキルやタイヤの選択で成長できるクラスを設定した。また、プライベートレッスンも随時募集している」と強調。

税込料金はBASIC=1人1万8000円、FUN=2万円、アドバンス=2万5000円。いずれも怪我などの保険料込み。愛車の車両破損は保険対象外。ホテルランチの費用は別途必要となる。グループでの参加も同じ料金で、最大12名が参加できる。

フェイスブックを通して募集していくほか、企業や二輪車メーカー、販売店向けに施設の貸切などにも対応していくという。

◆モトミックス・アドベンチャー・プレイグランド=千葉県君津市鹿野山字常緑平632
▽フェイスブック=https://www.facebook.com/funridetraining

This article is a sponsored article by
''.