オークネット・モーターサイクル(オークネットMC/東京都港区、福田博介社長)の手掛けるME:RIDE(ミーライド)が伸びている。若いユーザーやリターンライダーを獲得し、稼働台数は200台規模から年内にも500台規模へ。レンタルバイク事業との違い、全国店舗との協業のあり方を事業責任者・中田智氏に聞いた。
「ミーライドの仕事は思ったより太い売上げがある」と、協力店が喜んでくれることがあるという。元来オークション会場の営業担当として汗をかいてきた中田氏は、「お店にとって何らかの業務支援になれば一番うれしい」と打ち明ける。ミーライドへの参加をきっかけに顧客開拓してもらえれば、とも。
オークネットMCもレンタル事業「モトオークレンタルバイク」を展開しているが、それとサブスク型のミーライド事業が大きく異なる点がある。それは店側が貸出車両を保有するか否かだ。モトオークレンタルバイクであれば、加盟店がそれぞれ保有する車両を貸し出す。ミーライドの車両はオークネットMCが保有するもので、協力店はその貸出窓口を担う。つまり店側からすると、在庫リスクが発生しない点で比較的気軽に参加できる。
オークネットMCとしては自社オークションに出品されている車両を一旦買い取り、貸出車両として活用する。そしてまたオークションに出品する形だ。「一度市場からお借りして、またお返しするイメージ」と、この事業モデルを発案した福田宏介社長は解説する。
着想したのは2018年頃だという。せっかく良質な車両がオークションに出品されていても、流札してしまうことも少なくない。今日のようにタマ不足となる以前は、なおのことだ。ならば貸出車両として保有しながら収益を生み出し、その後に中古車市場に戻すのがいいのではないかと。福田社長や中田氏はKINTO(キント)など四輪車のサブスクも参考にしつつ、ミーライド事業を構築。20年から試験的にスタートし、21年夏に本格始動した。
「親しいオークネット加盟店様にお声がけし、協力店様として納車整備と貸し出しを担っていただいている」(中田氏)。冒頭の「太い売上げ」とは、その納車時などのメンテナンス費用として、オークネットMCから協力店に支払われる内容を指す。その評判を聞き、協力店に名乗り出てくれる店もあるという。10月現在の協力店=貸出拠点は全国15店舗を超えた。四国にも新たに1店舗加わったところだ。「サービスのあり方として全国の都道府県にそれぞれ1店舗は貸出拠点があるべき」と、同社では考えている。
また協力店は単に窓口を担うだけではない。ミーライドの利用客に対して「どんどん営業をかけていただければ」と、中田氏は説く。ミーライドで借りた車両を気に入った場合、利用客は最低貸出期間である4カ月を超えた段階で買い取ることもできる。しかしそれは利用客にとって幾分か割高となるため、協力店が同型の中古車(あるいは新車)を探して販売してもらって大いに結構ということだ。
「ミーライドを通じて新規顧客が開拓できる可能性もある。共に顧客満足を実現し、二輪車業界を盛り上げていければ」
ミーライドの利用を止めたユーザーを対象にアンケートを取ってみたところ、3割程度はミーライド利用後に「バイクを購入した」と回答した。車両購入を前提とし、中長期的視点で試乗するという利用方法も存在するということだ。
「新しいバイクユーザーを生み出すことができている。業界貢献できているのでは、と胸を張れる」
中田氏のいう協力店への「業務支援」とは、これである。
ミーライド利用者の平均年齢は三十代後半だが、その年齢層がボリュームゾーンではない。普通免許を持つ25歳前後と、大型免許を持つ45歳前後が多いのだという。
引き合いが多い機種はやはりレブル250やGB350、Z900RSなどだという。新車供給が追いついていない人気車に今すぐ乗りたい、というニーズだ。しかしそれだけでなく、この9月、10月には「シーズンオフになる前に違った車両にも乗ってみたい」といった乗り換え需要が見られると中田氏。冬にはダウンサイジング需要もあるとし、「150ccスクーター、グリップヒーター装備の車両などを用意している」とも。また車両保険込みで月額6万円ほどに上るがH2も貸出中。BMWやKTM、ドゥカティ、トライアンフなど輸入車も拡充していく予定だ。
月額2万円程度から気軽に乗り始め、乗り換えられるミーライド。稼働台数は今年前半で200台規模であったのが、年内には500台規模に。来年は1000台規模への成長も、という勢い。「オークション会場として加盟店様の商いを邪魔しない範囲」で、業績を伸ばしていく構えだ。