4月1日にヤマハ発動機販売社長に就任した松岡大司氏。就任前はヤマハ発動機で約20年海外関係の業務に従事。赴任先のベトナムやインド、ブラジルなどで顧客開拓を推進してきたが、これまで活動してきた新興国から転じて、成熟した日本の二輪車市場へ取り組むことに。これからのヤマハ発動機販売の方針・取り組みなどを聞いた。

ヤマハ発動機販売㈱ 代表取締役社長 松岡大司氏

画像: インタビューに応じる松岡社長

インタビューに応じる松岡社長

――海外から帰国して、二輪車販売の現場をどうみていますか。

「私が国内で仕事をしていた20年数前と比べて大きく変わったところはやはり、各銘柄による専売店化が進んだ点です。また、店舗自体も大型化が進み各銘柄はスピード感を持って事業を進めていると感じます。もちろんヤマハの専門店であるYSP(当時はヤマハスポーツプラザ)も展開していましたが、専門・大型店化こそが国内の二輪車販売の大きな変化ではないでしょうか」

「一方で、お客様の情報の入手経路がすごく増えました。以前だと、周囲で二輪車の経験値が高い人から教えて貰う、あるいは二輪専門誌からの情報が中心でしたが、今はインターネットやSNS(会員制交流サイト)といった、デジタルツールから得られる情報がほとんどです。情報量も以前とは比較にならないほど増えています」

「そうしたデジタルで得た認知から購入に至るまでの経路作りは、施策としてしっかりやっていきたいと思います。SNSやヤマハファン向けポータルサイトを活用しながら、まずはデジタルで認知を図り興味を持っていただく。そして、店舗へ来店していただき購入、店舗ごとのツーリングイベントや前回お話ししたYRA(ヤマハ ライディング アカデミー)等のリアルイベントでお客様には笑顔になっていただく。そうした流れをいかに早く回転させ、お客様とヤマハの結びつきを生み出していくのかが重要になってくると思います」

――YSP(ヤマハモーターサイクルスポーツプラザ)ですが、今後も店舗数を増やしていくのか、あるいは店舗数はそのままで質を高めていく方向なのでしょうか。

「増やしていきます。現在は国内に74店舗ありますが、これを100店舗まで進めます。各都道府県内での需要もそうですが、店舗様の収支や事業の継続性なども分析しながら、ネットワークを構築していきます。まずは全国100店舗が目標です」

――店舗オーナーも高齢化が進んでいます。施策はあるのでしょうか。

「『昭和的』な取り組みですが、YSPオーナーとはこれまで以上に、膝を詰めて話をする機会を増やしていくために、YSP専任の担当営業をおきます。従前よりも親密な関係を築くための施策です。エリア別なのか、店舗専任として営業を配置するのかは今後詰めていきます。他社も店舗施策はスピード感を持って進めていると感じるので、我々としても危機感を持っております。店舗施策の中心として進めていきます」

――これからのヤマハ バイク レンタルは。

「導入して5年目となり、現在はYSP全店で利用できるサービス体制が整いましたが、検討課題が出ています。地域に合った特性や販売店のニーズに合わせて柔軟性を持たせるほか、料金体系や車種ラインアップの拡充策など見直しが必要だと感じます。例えば北海道と東京都ではニーズも異なります。そうした所も含めて我々の中で検討し、施策として実行していかなければなりません」

「バイクレンタルとしてのサービスの質を担保しながら、販売店の中で運営していただくので、我々がしっかり検討しなければならない事はまだ多いと思っております。一方、店舗へ自主性を持たせるかについても検討中ですが、店舗によってサービスにバラツキが生じるとお客様が混乱するので、その辺りは販売店としっかりコミュニケーションを取りながら摺り合わせていきたいと思います」

―PAS事業について教えてください。

「電動アシスト自転車のPASシリーズは現在も新規のユーザーが約8割と、今後も成長が期待できる領域です。子どもから大人まで自転車は身近な乗り物ですので、学生の通学向け、子どもの送迎向け、普段のお出かけ向けなど用途に応じたラインアップを充実させています。そのため一般自転車から電動アシスト自転車への乗り換え層も非常に多いです」

「二輪車と自転車ではそもそも使用する環境や、二輪免許の有無などもありますが、我々は免許を持っていなくても、通勤・通学や子どもの送迎などでPASに乗る事で、ヤマハに触れることが多くなることに注目しています。このようなファミリーに向けてもヤマハブランドを認知していただける機会も重要なものと感じています。二輪車と自転車をラインアップするメーカーとして、相乗効果を生み出しながらヤマハブランドを訴求していきます」(終わり)

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