前身の阿部商事㈱設立が1972年。カスタムパーツを主力に成長を遂げ、85年に現社名の㈱デイトナとなり、97年には株式公開を果たした。やがてレーサーレプリカやアメリカン、ビッグスクーターのような大ブームが起きなくなってくると、そのカスタム需要に応えて成長する事業モデルは曲がり角に。リーマンショックにも直面し、「このままでは会社がなくなってしまう」という苦境も味わった。改めてユーザー動向をつぶさに見たデイトナは「快適・便利をキーワードにした商品」に活路を求め、再び成長軌道に。前編に続き、三代目社長・織田哲司氏に聞く。

考えすぎず、やってみよう

──一時は「売るモノがない」という危機に陥るも、道の駅での定点観測から地道にマーケティングを行い、路線変更を遂げたデイトナ。転機となった商品はスマホホルダーとのことでしたが、やはり社内には反対意見もあったのでは。

「それは大変な面もありました。ただ、何か新しいことに取り組むとき、仮説を立て『まずやってみること』でわかることが沢山あるし、失敗を恐れたり、考えすぎたりしてしまうとチャンスを逸してしまうことが多々あって……」

──行っちゃえ、という勢いが不可欠であると。

「いずれどこかで壁にはぶつかるので。まあ7割ぐらい『行ける』と思えるなら、できるだけ早く行動に移した方がいいと思っています。壁は承知の上で。そうした方が、いざというとき方向転換や軌道修正も速やかにできるものです」

──人も組織も、そういうマインドで早く動き出す方が、困難を乗り越えて結果を出せるということですね。

「そう。それが凄く大きいと思っていて」

──そうした思いがあってのことでしょうか。耕運機や除雪機の開発、アウトドア、電動アシスト付自転車など、デイトナはどんどん新領域に切り込んでいるのは。

「我々の技術を転用できることを活かそうと。そして、できればバイクライフと結びつくように成長させたいという思いがあります。はじめは点と点でも」

「なかなか成功事例は少ないんですけどね。例えば小型耕運機もそう。家庭菜園用の耕運機って軽いので、硬い土壌で使うとピョンピョン跳ねてしまう。作業するにも余計な体力が要るし、危険なんです。そこで我々の技術を転用しようと考えました。基本は耕運機にサスペンションを追加しただけなんですけど、すごく優しく耕せるようになったんです」

画像: デイトナが手がけるリンク式小型耕運機「DC2S」

デイトナが手がけるリンク式小型耕運機「DC2S」

──カスタムで培った技術が、なんと畑仕事に活かせるとは。

「できれば新しい取り組みが二輪車とコラボできたり、環境の変化にも対応できたりっていう付加価値が打ち出せれば」

──デイトナがやるのであれば、という付加価値があってこその事業化なのですね。ハードルが高いなと。

「まあ、楽しくない仕事はやらせてもダメだから」

──そ、そういう事でしたか。

「二輪車用品のメーカーに入社したのに、全然関係ない仕事に従事させられたのでは面白くないでしょう。時に苦しくても、楽しんでできる仕事であれば頑張ってくれるものなので」

──その方針が関係しているのでしょうか。社員の皆様、明るくわいわいがやがやしている雰囲気です。我々が来社した際も、お一人お一人が元気にあいさつして下さるのが印象的で。

「ありがとうございます。銀行や証券会社の方も言われますね。緊張感が足りないかも?」

──いえいえ、そんな。ただ上場会社だからといって、堅かったり、かしこまったりという空気はないな……と。

「やはり趣味の道具を提供している会社ですから。その社員が日々つまらないと感じながら仕事をしていては、お客様にバレちゃうでしょう。『楽しんで仕事できなければ趣味の道具は提供できないよね』というのが自分の考え。主体的に自ら考えて行動して結果が伴えば、さらに楽しくなるかなと」

──自由にやってもらうのが大事、ということでしょうか。

「方針は伝える必要がありますよ。『ここで強化するカテゴリーは』など、しっかり伝えておかないと迷走しかねないので。方針だけはブレないように。あとは、どういう風にお客様に支持していただけるように仕上げるか。そこは自分達で考えてと」

──その先は委ねるのですね。

「その通りです、具体的なところまで口を出すと、指示を待つようになってしまう。主体性を失わせないよう、微妙なラインで指示を留めておかないと(社員としては)楽しくなくなっちゃう」

画像: デイトナの織田社長。本社テストコースをバックに

デイトナの織田社長。本社テストコースをバックに

──とても胆力を必要とするものと想像しますが、デイトナの元気を引き出す秘訣なのでしょう。前編で伺ったユーザー動向を定点観測する手法、今回冒頭に伺った『まずやってみる』マインドと合わせて、今まさに活きる要素であると感じます。潮目がいつの間にか大きく変わる、今の時代に。そこで伺いたいのですが、このポストコロナ期に取り組むべきことは何でしょうか。

「バイクを『やめられない趣味』と実感していただくことです。新規免許取得者がコロナ期に1割以上増えるなどしたわけですが、皆様買いたいモノは一通りそろったかなと。装具も一度買えば何年かもちますから。そこで、次の買い替え需要までに何をすべきか。『やはりこの趣味はやめられない』となることが大事。それにはどうしたらいいか、というのを次のステップとして考えています」

「そして23年は4年ぶりに『DAYTONA森町・静岡茶ミーティング』を開催。また、新たに『朝活Cafe』も始めました」

──茶ミーティングは3000人以上が集まり、大盛況に。

「ライダーのご家族にも楽しんでいただけるなど、大きな収穫がありました。(デイトナ本社のある)森町をはじめ、静岡県磐田市や愛知県設楽町の観光協会とコラボできたことも良かった。想定以上にお客様が集まってくださり、ご不便をお掛けしてしまい申し訳ない部分もありましたが、そこは次回の課題です」

──一方、朝活Cafeとは。

「19年より観光パートナー協定を締結している愛知県設楽町観光協会と協力し、『道の駅したら』など地域の施設を舞台としたミーティングイベントです。ご当地の朝食メニューやスタンプラリーなどを地元の施設・お店に提供していただき、デイトナは集客支援としてSNSでの告知やオリジナルステッカーの制作・配布などを担っています」

画像: 愛知県田原市で開催された「朝活Cafe」の模様

愛知県田原市で開催された「朝活Cafe」の模様

──朝のツーリングを喚起するのですね。

「ライダーさんたちには朝早く楽しんでもらって、午後は自宅などでゆっくりしてもらう。そして開催地で多少なりとも経済効果が生まれれば、と。そういう実証実験として、昨年は他にも観光パートナー協定を結んだ渥美半島観光ビューロー(愛知県田原市)でも開催しました。今年は設楽町、渥美半島の他に静岡県磐田市、新潟県魚沼市、愛知県豊根村とも協定を結び、企画を進めています」
「この朝活Cafeに、デイトナではSDGsの流れの一つとして取り組んでいます。やはりライダー、ユーザー様にバイクライフを永続的に楽しんでいただくためには、『モノ』の提供のみならず、微力ではありますが、ライダーの皆様が走る目的のひとつになるような活動も継続していきたい」

──ブランドとして商品を用意するだけでなく、その商品を楽しめる場も企画するのですね。

「そうです。今年3月にはグループ会社の手掛けるアパレルブランド『Max Fritz』が浜松店を出店しました。これも単に商品を売るだけでなく、ライダーたちが浜松を楽しむ際の一拠点として機能すればと願っています」

──ブランド発信地であり、楽しめる拠点。そうなると文化として一段と定着しそうですね。

※このMax Fritz浜松店については、オープニングセレモニーの模様を近くレポートします。

朝活Cafe2024開催予定

■愛知県田原市

■愛知県設楽町

■新潟県魚沼市

《豊根村観光協会からのお知らせ》
豊根村観光協会✕株式会社デイトナ「観光パートナー協定」締結しました

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