SNSなどネットによるバイク関連の情報量と影響力の大きさには今更ながら驚かされます。私も少しだけユーチューブにバイクネタをアップしていますが、賛辞もあれば時に厳しいツッコミもあります。

たとえば大きくて重いバイクを、スイっと取り回しする映像です。体格や腕力に依存しないラクで確実な柏流の紹介ですが「後方確認しなきゃダメでしょ!」とお叱りのコメント。趣旨はそこではなくて、と言っても後の祭り。そのコメントを削除せず反省材料として次に活かすつもりです。

私が開催するスクールではないのですが、事前の申し込みと振り込みが必要な某ライディングスクールにドタ参加したAさん。しかし、2回目はドタ参加できませんでした。理由はキャンセル待ち状態なので、スタッフが受講を断ったのです。

するとAさんは速攻でネットに「あのスクールに行ったら追い返された」と書き込み。それを読んだ仲間は「酷いね」「何様のつもりなんだ」などとスクールを強く非難。ことの流れを知らない多くの人は、一方的にAさんの味方になったのです。

残念ながら「でっち上げのネタ」を書く人を安易に信じて、さらに酷い書き込みをする野次馬は絶えません。書き込む人は短絡的で思い込みや承認欲求が強く、読む人も日常の不満を背景に誹謗中傷に加担します。

SNSで知りたいのは売り手の人柄

ではバイクショップはどうすれば良いか。一発で解決できる手法はありません。予防も事後対応も簡単ではありません。

事案発生時、可能な限り証拠を保存しつつ、まずは冷静になります。匿名でも発信者を特定できますし、例えば法務省の支援事業「違法・有害情報センター」に相談してみるのも一つの方法です。

一方で、SNSの有効利用として最新バイクの走りや魅力をユーチューブ等にアップして自分の言葉で積極的にお客様にアピールする販売店も少なくありません。個性豊かでローカル色があって、むしろ新鮮で信憑性も高く感じます。SNSで知りたいのは売り手の人柄かもしれません。

経験則から申し上げると、安売り価格にしか興味のない人は要注意です。バイクの魅力や安全を伝えようにも伝わらない。整備の重要性を説いてもバイクのコンディションは放置。何も通じないどころか、安易に誹謗中傷に走ると予測します。

たとえば無料の新車試乗会は、ただの冷やかしですぐにクレームをつける人が多く、一方でワンコインであっても有料の試乗会では、むしろちゃんとしたお客様が来場される事実も確認しています。

ともあれバイクショップはネットを利用してもネット情報に振り回されない泰然自若の姿勢が大事だと思います。

プロフィール

柏 秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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