1回目はスタッフのバイク取り回しやUターンなど日常にありがちなミス防止でした。バイクの出し入れや店内移動では、慣れるほど誰もが気を抜きやすいもの。転倒、衝突、怪我をしたりお客様のバイクを壊すなどミスを誘発します。初心を忘れず慎重&正確を最優先とします。
2回目はスタッフの日常の通勤時とお客様の車両整備完了後のチェック走行時の注意。走行前としばらく走った時、3秒で息を吸いその時にハンドルグリップを強く握り、次に7秒かけて息を吐きながらグリップを持つ手をユルユルに脱力。慢心を防ぎ、集中力を高めます。
交差点通過時の右直事故が圧倒的に多いため、対向右折車がいないと判断してもあえて早めのブレーキ準備。
3回目はツーリングでの注意点を書きました。遅い車が前にいてもイエローカットせず、一旦停止場所は完全に止まって発進。法令遵守だけでなく、平常心確認と心得てください。
悪い走行例はお客様にすぐ伝染し、スタッフだけでなくショップ、そしてお客様の不利益に直結します。峠道ではアウト・イン・アウトを使うような、センターラインやガードレールギリギリの危険な走りを避けます。ショップの発展はお客様とスタッフの安全安心があってこそです。
願いを込めた接点作り
以上3つを締めくくりつつ、提案をひとつ加えたいと思います。それはお客様との接点作りです。
バイクの楽しみでもっともメジャーなことはツーリングだと思います。そこで例えば、ショップ側から具体的な旅情報をお客様に提案するとさらにバイクに乗ることが楽しくなり、距離を延ばしてくれるかもしれません。
私が常々感じている「走る人ほどバイクを辞めない」という仮説は、間違いないと思います。いつまでも乗り続けてくれるお客様こそお店の財産です。季節ごとのおすすめグルメや景色や宿など、SNSではなく貴方のショップが丹精込めて作ったツーリングルートをA4のプリントで良いから、お客様に手渡しするのです。他に変え難い素晴らしいおもてなしです。
年末年始から春先にかけて安心して行けるちょっとしたツーリング情報の提供。あるいはクリスマスに合わせたイベントや正月なら餅つき大会など、こじんまりとしたもので良いですから、お客様とその家族をお招きするのはどうでしょう。
日々感じ取るべきバイクの操り方とお客様との接点作り。それらはまったく関係ないことでしょうか。スタッフの走りの質向上やお客様との接点作りは、お客様に楽しく乗り続けていただきたいと願う気持ちに強くつながっていると思うのです。
プロフィール
柏 秀樹(かしわ・ひでき)
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。


