このミーティングは、販社であるHMJが主催し、本田技研、その研究開発を担う本田技術研究所二輪R&Dセンターの3社のホンダマンと、二輪専門誌編集長が参加するもので、今回で26回目の開催となる。ホンダとしては、専門誌編集長にホンダの最新マシンに実際に長距離を乗る体験をしてもらうのと同時に、走りながらホンダマンとの親睦を深めることを目的に開催。一緒にツーリングを楽しみながら、同時に国内の二輪車を取り巻く環境などについて語り合い、問題点、課題を共有して、二輪車の利用環境を改善していこうと毎年開催しているもの。今年もHMJパブリックリレーション部広報課が中心になり運営されたが、今回は特別に公道走行可能なレーサーとも言われる「RC213V-S」が2台用意され、抽選で選ばれた編集長は一般公道を走行するという幸運に恵まれた。
ミーティングには、本田技研の青山真二取締役執行役員、鈴木哲夫執行役員、HMJの加藤千明社長らも参加し、最新のホンダマシンに全員が実際に乗りマスツーリングを楽しんだ。
ツーリングの出発地は金沢。用意されたバイクは、話題のRC213V-Sが2台の他、販売好調のCRF1000Lアフリカツインが11台も用意され、その他CB1100/1300シリーズ、NC750X/S他ホンダの注目車種がほぼ全車種並ぶ。
午前11時、参加者はそれぞれ自由に自分が乗りたいバイクを選んでスタート。気温20℃という絶好のコンディションの中、同じHondaのウェアを身に纏った約60人のライダーが本田技研広報部の高山氏の先導の下、一列となって走る様は壮観である。
まずは日本海を左手に見ながら能登半島を北上、波打ち際が走行可能なことで有名な千里浜なぎさドライブウェイで爽快な走りを楽しむ。午後からはさらに気温が上がり初夏の陽気の中、輪島市内を抜け、白米千枚田で棚田風景に触れた後、快適なクルージングが楽しめる能越自動車道を南下。普段バイクに乗る機会の少ない編集者も笑顔で、自然と一体になれるバイクの魅力を再認識したはずだ。
1日目は約210㎞を走り、午後5時30分には和倉温泉の宿に到着した。
午後7時からは懇親会が開催された。まず本田技研の青山氏が挨拶に立ち「この度の熊本地震により被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げる。震災発生から間もなく2カ月が経つが、早期の復旧に向けた活動を、全社一丸となって取り組んでいる」と先の平成28年熊本地震について触れるとともに「完成車組立工場では部品搬送用の搬送コンベアがすべて落下してしまった厳しい状況で、生産開始には8月中旬までかかる見通しだ。製品をお届けできない状況が長く続いており、大変心苦しく思っているが、納期を待っていただいている状態のお客様の多い機種を中心に、少しずつ生産を再開していく」と被災状況と再開の見通しについて説明した。
また、15年度の二輪車販売台数を紹介し、国内の厳しい市場環境について「二輪車の利用環境改善の取り組みや規制緩和、特に原付二種など免許制度の改定や、三ない運動の実質撤廃を積極的に推進し国内二輪の活性化を目指しているが、行政側の反応も鈍く遅々として進まないのが現状だ。我々メーカーから二輪車市場の健全化に向けた発信をし、引き続きその実現に向けて取り組むので、若年層へのアプローチも含めて積極的な誌面での展開をお願いしたい」と専門誌編集長へ強く協力を呼びかけた。
続いてHMJの加藤氏が「国内二輪市場は非常に厳しい環境下にあり、追い打ちをかけて熊本地震で熊本製作所が被災し、営業活動への影響も多大だが、アフリカツインの販売では二輪専門誌の好論調のインプレッション記事のお蔭でロケットスタートが切れた。現在、販売できる製品が提供できずに困っているが、今期後半には提案性の高い意欲的なモデルの登場もあるので、引き続きよろしくお願いしたい」と挨拶し乾杯。和やかな雰囲気の中、懇親会がスタートした。
会の最後には開発・生産・購買領域の統括責任者である鈴木氏が挨拶に立ち「モーターサイクルショーに出品したコンセプトCBタイプ2、シティアドベンチャーそしてCRF250ラリー他、非常に良い手ごたえを感じている。ホンダの思いを具現化した意欲的なモデルとして、市場投入を検討している」と来年に向けての新製品展開を披露するとともに「頑張ろう熊本!頑張ろう二輪車の利用環境改善!我々世代が日本の二輪車を立て直したと、10年後20年後に言われるように頑張っていきたい」との強いメッセージで懇親会を終えた。
2日目も気持ちの良い青空のもと、再び能登半島を今度は左回りに北上し、見附島(軍艦島)、珠洲岬、すず塩田村と巡り、奥能登半島の自然景観を堪能した。
午後1時過ぎにはツーリングが終了。参加者は笑顔で、変化に富んだ能登半島での2日間のミーティングを終えた。
紙面掲載日:2016年7月1日