ハーレーダビッドソン(本社=米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)は7月中旬、米国オレゴン州ポートランドにて8月より全米販売を開始する同社初の電動車「ライブワイヤー」の報道向け試乗会を開催した。

クラッチ操作やシフトチェンジが不要で操作は簡単ながら、水冷式三層ブラシレスモーターは最高出力105PS、最大トルク116.6Nmを発揮し、力強い加速が味わえる。停止状態から時速100kmまでの加速はわずか3.0秒、時速100kmから129kmまでの加速は1.9秒で、最高速度は時速177kmにも及ぶ。

車体重量は249kgで、同社の「ロードスター」(250kg)と同等。前後17インチの足まわりで、ラジアルマウントキャリパーを前輪ブレーキに備えるなど、クルーザータイプが主軸のハーレーダビッドソンでは従来なかったロードスポーツモデルとしていることも目新しい。コーナリングABS、トラクションコントロール、ライドモードなど電子制御も充実した。

公表する航続可能距離は、減速時の回生ブレーキによって充電されるため、加減速を繰り返す市街地走行では伸びて235km。高速道路も合わせたテストランでは152kmだったと明らかにした。

ワインディングが8割、市街地などが2割程度だった今回の試乗では約62kmを走行し、メーターディスプレイが示すバッテリー残量は34%ほど。九十九折りの山岳路をフルスロットルで走行し続けたため、公表値ほど長くは走れなかった。

充電は家庭用電源でも可能だが、急速充電にも対応し、コネクターの規格は欧米で普及する「CCSコンボ」。0から80%までの充電をわずか40分で可能とし、100%の満充電もわずか60分で完了できる。バッテリーの保証期間は5年とし、走行距離に制限はない。

料金はフル充電300円程度(米国内)で、ガソリン代と比較すれば圧倒的に安上がり。オイル交換など、メンテナンスの多くが不要となる点もセールスポイントとしている。

ハーレーダビッドソン・グローバル広報責任者ポール・ジェームズ氏によれば、充電ステーション網の拡充を全世界で推し進め、ライブワイヤーを販売する正規ディーラーでは全店舗に充電ステーションが設置されなければならないという。すでに全米650ヶ所ある正規販売店のうち150店舗で設置済みとし、欧州でも100ヶ所のディーラーで準備を整えた。

また、ライブワイヤーの日本導入については2年後を目処に進行中で、HDJ正規販売店でも充電ステーション網を確立したい意向。コネクターを日本で普及する「CHAdeMO(チャデモ)」に変更する考えもある。

ライブワイヤーのターゲット顧客は、すでにハーレーダビッドソンのオーナーとなっている人たちはもちろん、35歳~55歳の新規層にもアピールしていく。車両本体価格は2万9799ドル(321万円)で、キャリアがあって自由に使えるお金があるアーバンライフをおくっている人に乗ってほしいという。

ライブワイヤーはクラウドとも接続され、スマートフォンとブルートゥース接続するだけで、専用アプリを介してバッテリー残量や充電状況、走行可能距離など車両状態を把握できる「H-Dコネクト」のサービス提供を開始する。

充電ステーションの検索をはじめ、メンテナンス時期や充電完了がわかり、GPSを利用することで駐車位置を地図上で常時確認し、セキュリティも万全とした。ワイヤレスヘッドセットによってナビゲーションの音声を聞いたり、電話応対、音楽再生も可能。購入後1年間は無料で試せ、翌年から有償となる。

「H-Dコネクト」は、2019年秋から米国、カナダ、プエルトリコ、およびヨーロッパの大部分でスタートし、20年8月後半にはオーストラリア、ブラジル、メキシコ、そして日本にも導入する構えだ。

さらに、BMXやスクータータイプのモックアップも技術説明会の会場で展示された。ポール氏によれば、ハーレーダビッドソンはモーターサイクルの電動化をリードすべく精力的に取り組み、ライブワイヤーを上級モデルとしたスモールクラスからのラインアップ拡充も図っていくとのこと。今回の展示車両はモックアップだが、実際に走行テスト段階にある開発車両も存在しているという。

10年間で販売台数が3割減となっているハーレーダビッドソン。先ずはEVロードスポーツを起爆剤として市場に投入する。(文=青木タカオ)

画像: ダイナミックな山岳路が続くマウントフッドハイウェイ

ダイナミックな山岳路が続くマウントフッドハイウェイ

画像: グローバル広報責任者ポール・ジェームズ氏

グローバル広報責任者ポール・ジェームズ氏

画像: ポートランドで開かれた技術説明会

ポートランドで開かれた技術説明会

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