経済成長が著しいアジア市場で、世界中の二輪車メーカーがしのぎを削っている。3月開催の東京モーターサイクルショーに合わせ、アジアに拠点を置くピアッジオ・ベトナム会長兼アジアパシフィック副社長のジャンルカ・フューメ氏が来日した。本紙ではフューメ氏に日本を含むアジアで、今後4ブランドの戦略や日本市場についての考えを聞いた。

──日本の二輪車市場をどう捉えていますか。
「日本の二輪車市場には多くのモデルセグメントが存在し、多様性に富んでいます。ピアッジオグループ(ピアッジオG)は4つの個性あるブランドで幅広く多数のモデルを揃えていることで、もっと情熱的に日本のユーザーに認知、理解をしてもらいたいと考えています」

──アジア各国は文化や経済成長、意識も異なり、4ブランドの狙いを定めるのに容易ではない。
「今は公表できないが、戦略に関して明確に答えられる時期がくるでしょう。言えることはピアッジオの価値の理解者であるお客様から評価されるであろうということです。また、多様なニーズに適正なセグメントの製品、特色を訴求してアプローチすることです。ピアッジオGでは4つのセグメント、ブランドがあるが、根底にある基本はそれぞれの遺伝子を持ち、これを活かして各ブランドの特長をうまく調和、バランスさせることが重要と考えています。

その一環で、すでに他の国では進めている、旗艦となる専売店ネットワーク『モトプレックス』を展開しています。多様性を活かしつつシナジー効果が得られるように活動しています。スクーターの象徴であるベスパ、高い技術のピアッジオ、モトグッツィはヴィンテージ、アプリリアがスポーツやレースといった各特徴を統合した、ピアッジオGブランドのハウス・オブ・ピアッジオのような店舗を開設していきます。これまでの専売化のスクーターイタリアーノとモトイタリアーナを統合した形になります」

──日本でのモトプレックスの展開は。
「できるだけ早い時期と考えていますが、まずは旗艦店になり得る店舗を開設し、そこから情報発信をして行きたいです。すでにモトプレックスは世界300拠点で展開。アジアではバンコク、ジャカルタ、ベトナム、シンガポール、香港と主要都市に開設しています。ピアッジオのCIの基、ブランドの特長を訴求し展示しなければなりません」

──4ブランドの展開では顧客嗜好も異なり、販促など投資が容易ではない。
「ピアッジオGではR&D(研究開発)に注力し、最新技術に投資するほか、市場へのコミュニケーションやPRでも多くの投資を行っています。モトプレックスもしかり、販売ネットワークづくり、モトGPにも投資しています。投資なくして成長はないのです。

4ブランドでは各特長を生かし、バランスをとることがポイントになり、また難しいところでもあります。ただ、バランスをとることで新たな付加価値も生まれるでしょう。

例えばモトGP参戦への投資は4ブランド全体のプラットフォームや技術に投入、反映でき品質が高められます。現在ピアッジオGは米国に研究開発室を置き、全く新しい移動システムやコミュートを開発しており、ここで製作した認識システムを使い人の移動と共についてくるロボット『ジータ』をロボットショーで発表しました」

──電動二輪車(EV)については。
「EV車は今現在、市場で注目されている分野の技術です。ピアッジオGは業界のリーダーとして過去に投資を行ってきました。過去にMP3ハイブリットの発売やリバティも投入し、EV自転車も約3年前に発売。今年10月にはEVベスパを発売する予定です。

ただ、アジアではまだEV車は販売していません。アジアの多くの市場は経済的にまだ購入レベルに成長していないことが挙げられます」

──アジアで今後、プレミアムな需要が高まる国は。また課題は。
「日本に次いで、ピアッジオG工場を置くベトナムと考えています。国民性やコンプライアンスなどを考査すると、ピアッジオGをうまく表現、訴求しやすい市場です。

課題は特にないが、アジアは今後成長が楽しみな市場です。ピアッジオの130年の歴史、積み上げてきたイメージなどのルーツや基本を見失うことなく、新たなものを市場で展開していきたいと思います」

──今後の日本市場への期待は。
「日本市場はピアッジオGにとって重要な市場で、日本は他のアジア諸国よりも消費者の意識が先行し高いと思います。

今後は3年間で日本市場での成長を強化していきます。成長割合の公表は控えておきますが、私の潜在意識の中ではまだ20%レベルですので成長の可能性は充分あると考えます」

画像: ピアッジオ・ベトナム会長兼アジアパシフィック副社長 ジャンルカ・フューメ氏/今後3年間、日本を強化 統合旗艦店 「モトプレックス」視野に

紙面掲載日:2018年4月27日

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