新しいバイクやタイヤが発表されると、媒体向けの発表会や試乗会が開催されることがあり、私もお招きいただき、説明を聞いたり実際に乗車したりなどして、記事にしております。

その際、「実際に体感してもらえると、一番わかるんだけどな」と思うことが、申し訳ないけれどもあります。「もっと写真やら文章やらがんばれよ」なんて言われそうですが、タイヤなどは見た目も変わりませんし、違いが写真などにすっと現れるものでもありません。しかし、乗ってみると「うわっ、良い」となるのも事実であります。

車両やタイヤ、各種パーツと同じように使ってみてわかるものに用品があります。私は紙面ではアライさんのヘルメットにクシタニさんのウエアを使わせていただいております。用品もいろいろなものが同じ用途で多数存在しますが、使ってみると違いを感じるものが多いです。実際にメーカーの方に会い、正しい使い方などを指導してもらえる私などはさらにその違いが大きくなります。

私は身長こそ180cmを超えるのですが体重は軽くガリガリであります。そのため、ウエアなどはフィット感よりも長さのカバーが第一で、ダブダブでも長さで選びます。

あるとき、スズキさんのGSX-R1000にスズキのテストコースである竜洋コースで乗る仕事があり、当然レーシングスーツが必要ということで、当時使用していたつるしの既製品の某メーカーの革ツナギ、当然ダブダブなものを持っていきました。

竜洋のコースは1km以上の直線があります。車両はGSX-R1000、私レベルでも直線で新幹線を超える速度が出ちゃいます。もはやSF映画の「ワープ」のような、とてつもないスピードの中、私が次のコーナーに向けちょっとカウルから上体を出したとき、予想しない衝撃が襲ってきました。

バタバタッ……という激しい音とともに私の上体が細かくゆすられ、目線も定まりません。私のダブダブのツナギの背中側が高速の風でバタついていたのです。

怖かったです。

マシンの走行音とは思えない異音を発しながら高速で走る私をみて、業界の先輩方は「猪首、笑えるけど、アブねーぞ」とおっしゃいました。

そして現在のクシタニさんのツナギ。こんな特異体型の私のために微調整をいただいたものですが、ダブダブが基本であり、「ツナギの調整」という概念も無かった私の人生の中で、これまでにないフィット感でありながら、自由に身体を動かすことが出来ます。

そして、昔はなかったインナーウエアが動きやすさを倍増させるのです。汗のケアやツナギの着やすさ脱ぎやすさにも貢献が高いのです。

革も素人にはわかりませんが、動物から取る場所によって性質が違うのだそうです。それらをツナギに使用する際は加工し、場所によって使う部位を変えているそうです。

運動性と安全性という相反するものがここまで求められるウエアもないでしょうけども、見事に両立されています。ここでもあえて言います「体感してみないとわかりません」なのですが、「是非、体感していただきたい」と思います。

アライさんのヘルメットは、おわん型などを被って走っている方には、停めて一度被らせてあげたいと思うぐらいです。

乗っていると風を浴びるオートバイですが、多くの情報を取り込む目など頭部はしっかりとクリアにしておきたいと思います。持ったときに軽く、被ったときに「そうそう、これよ」と思わせる被り心地のアライさんのヘルメット。「是非、体感していただきたい」と思います。

顔の部分はシールド一枚でありますが、そのシールドは今や2重構造で、ほとんど曇りません。走り出せば風が入ってきて曇り除去も行われ、何より最新の帽体のベンチレーション機能は、真冬だとうっかり開けて走行したりすると、大きく後悔するほどの性能です。真冬のベンチレーション全開、真夏は当然ですが「是非、体感していただきたい」と思います。

走り出してしまえば、何かあったとしても手などで修正ができないオートバイ乗車中のヘルメット内部ですが、普段のお部屋のような空間なのではないでしょうか。

私は「是非、体感していただきたい」の頻度でしか、その凄さを伝えられません。ですが本当に「是非、体感していただきたい」と思います。

ウエアやヘルメットなども、タイヤとまではいきませんが最新モデルでもその違いを外見から掴むのは難しいでしょう。なぜ、最新の用品がいいのか、見た目は変わらずとも確実にアップデートされているからです。変わる法規に対応しているものもあります。性能はもちろん、安全であります。

展示会やショーなどで多くの用品メーカーさんがブース出展したりされています。ここではたまたまクシタニさんとアライさんのことを書きましたが、他メーカーの皆さんもお客さんの声を本当に真摯に聞いており、それらを、進化する技術とあわせ反映させています。そして、メーカーの皆さんはいろんな意見を欲しています。だから、ショーや展示会などで、「ここが良かった」とか「こういうのが欲しい」とかあれば言ってあげてほしいです。

メーカーさんのなかには、「金額でしかものを見ない人には興味ありません」と自社製品に絶大な自信を持つ方もいらっしゃいます。最新モデルのみならず、メーカーさんの、その知識と取り組みの姿勢も「是非、体感していただきたい」と思います。

二輪車新聞編集部 記者 猪首俊幸

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