2016年末から2017年初にかけて自社の販売網を再構築する二輪車メーカーがいくつか現れた。

遺憾ながら、日本のバイク市場は関係者の尽力にもかかわらず、昨年度も縮小した。国内出荷台数は37万台を切った。一方、バイク販売店数は諸説があるようだが、最低でも7000店はあると言われる(実際には、いまだ1万店はあるとも言われる)。

バイク販売店が7000店とすると、1店あたりの年間販売台数は平均で約53台にしかならない。車両の平均単価を45万円ぐらいにすると、一店あたりの年間売上金額に約2400万円だ。これでは、いかにも経営規模が小さすぎる。

一部のメーカーの販売店の経営規模は、これをかなり上回っているところが少数ながら存在し、売上規模においてはかなりのシェアを占めている。言い換えれば、国産のブランドを中心に取り扱っている販売店の多くは、この平均的な状態をはるかに下回っていると強く推測できる。しかも、それが数の上では圧倒的に多い。

この圧倒的な数を占める弱小の販売店は、メーカーの販売政策も十分には店頭展開できない。弱小の店が単一メーカーを取り扱うのではなく、多くの場合、特に国産車取扱店では、複数のメーカーブランドを併売している。これくらいの規模になると、正直なところ、たとえ一ブランドの取り扱いであっても、十分にはメーカーの展開するマーケティングを店頭展開することは容易ではない。

販売店総数の10%に満たない、それなりの規模を維持する販売店と、実質90%を占める発展可能性を見出すことが難しそうな生業を営む販売店とを、同じように渾然一体で政策展開しても、メーカー側からすると「労多くして得るものは少ない」という、かねてから問題として強く認識していた領域に、ついに合理的なメスを入れようとして、今に見られるような政策を採用しだしたのだろう。

メーカー設定条件をこなせる、今なお販売力のある販売店との間に、一線を画すことになった。語弊のある言い方になるが、期待値の低い、自由放任型の販売店に区分けした。放任型の販売店にはこれからの市場の伸びが多少は期待できる大型バイクの取り扱いは、遠慮してもらうという差別化を行った。
 
これによって、それらの販売店は一層ビジネス基盤が弱体化した。そこで、取り扱う商品の見直し、地理的な優位性、顧客の特色などを十分に再検討して、活路を見出していくことが必要だ。しかし、たやすいことではない。

自由放任型の店にメーカーの指導・ヘルプは、ほとんど入らなくなる。自覚して何とか再起する気力を奮い立たせて、はっきりとメーカーの指定店にカムバックされることを祈念したい。

※2017年3月24日付け号「一字千金」掲載

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)
1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業を担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.