バイクレッスンを何十年も続けて、日々やり甲斐を感じている。楽しいし、続けることで相応の確信も自信もついてきた。好きなバイクを通してこうやってこられたことを、実にありがたいと心より思っている今日この頃。

中でも特に好きなのが、チビッコのバイクレッスンと親子タンデムレッスン。子ども達にバイクのイロハを教えて、時にリアシートに乗せてバイクの楽しさを体験してもらう。練習の合間に交差点での待機場所や、歩き始めの注意なども教える。乗ることにも、歩くことにも共通する注意点を伝える。

楽しさと生き延びる方法を同時に伝えている。どちらかだけでは不十分。「楽しい」の裏側には「具体的に気をつけること」を常に伝えていかないと痛い目に遭う。それがバイクという乗り物だから。

例えば自転車の乗り方を教える親御さんを見ていると「走る」ことに夢中になって「止まる」ことを後回しにしている例が多い。走る快感を先に覚えると止まることを軽視し、後回しにしてしまう。これでボタンのかけ違いが始まる。

楽しい親子バイクレッスンの写真をSNSでアップしたら、関西の受講生ライダーからメールが届いた。「私も子供の時から習っていればもっと楽しく乗れたのに」とネガティブな内容。

私は即返答した。

「そんなことはないですよ。子どもはすぐに乗り方を覚えるけど、当たり前にできると本当の楽しさを知る前に飽きてしまったり、嫌いになったりする。歳を重ねるほどに物事の深み、味わいがわかるようになる。スタートは誰でも楽しい。でももっと楽しいのは乗り続けてこそ見つかる深い感動ですよ。歳を重ねるほどにわかってくる。今そうして乗れている自分に感謝して、前を向くことを大事にすることではないでしょうか」と返答させていただいた。

時間とともに人は良い方向にも大きく変わっていく。成長する可能性は無限。バイクの扱いひとつ習得することですごく喜んでくれると、教える側もそれが勉強になる。お店のスタッフも日々やるべきことが当たり前になりやすいが、ちょっと視点を変えると成長できるヒントが見えてくるかもしれない。

子ども達は将来のバイク業界の宝。そしてショップのスタッフはその架け橋になってくれる、二輪車業界にとってとても大切なキーマン。もしも、子どもと接する機会があったら、バイクの楽しさをショップスタッフの視点で伝えてほしい。まだ免許を取れない年齢の子ども達だとしても、彼らとコミュニケーションを取ることで、自分自身もより充実した日々が送れるのではないかと思う。

プロフィール

柏秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員の意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授や情報交換をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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