㈱リバークレイン 取締役 ストア統括本部 事業統括マネージャー 楠山泰生氏
──2020年から21年にかけて、売上げが伸びたジャンルを教えてください
「弊社は元々カスタム系のジャンルに強みがあり、コロナ禍以前からマフラーや、サスペンション、バックステップなどの商品は常に売上げ上位を占めていましたが、昨年のコロナ禍においては対前年比で2割以上の増加が見られました。
特にマフラーは高額商品にも関わらず多くの注文をいただきました。ただ、それには二輪車用品販売店の事情があるようです。実は店舗では、マフラーの展示方法が以前と異なると聞きます。展示エリアも一番目立つスペースに展示している所は少なく、店舗の奥にあるケースが多いようです。そうしたこともあり、マフラーが実際に目に触れて、手に取れる機会が少なくなっているのでは、と感じます。
それと関連して店頭での在庫量もあまり多くなく、弊社のようなEコマースだと多くのマフラーメーカーを取り扱っていることや即納在庫の幅広いストックもあり、素早く商品が届けられることで利便性を感じ取ってもらえていると思います」
──売り上げたが増えた要因をどのように分析していますか。
「コロナによる外出自粛で、外での食事や旅行など、どこにも出かけられないストレスの解消がバイクのカスタムへ向かったと思います。通常なら出費にためらうようなカスタムパーツや高額な商品を中心に数多く注文をいただきました。さらに政府が国民全員に支給した定額給付金のほか、20年後半当時はキャッシュレス還元施策もあり、それが後押しになったのは間違いないでしょう。
ライディングギア商品も伸びております。特にジャケット類ですね。ちなみにライディングギアはサイズが合わない場合、返送の送料は弊社が負担するサービスを導入しています。実際に着衣してみないと分からない、というアパレル商品の不便さを解消するために、17年から導入しました。元々、同様のサービスは婦人靴やアパレル系のEコマースが取り組んでいましたが、弊社でも導入したところ会員から評価をいただいています。
それとタイヤ商品ですが、最近ではエンデューロレースの根強い人気もあり、オフロード向けのタイヤが伸びています。オフロード向けのチェーンも伸長していますね。元々、このジャンルはDIYに長けている会員が多いということもあり、自分でメンテナンスできる商品を中心にとにかく売れているという印象ですね」
──取り付けなどDIYが不得意なユーザーの場合、購入後はどうしているのでしょうか。
「一部の二輪車販売店では、パーツ持ち込みで整備やカスタムを受け付けるケースも見受けられます。Webikeでも、商品を購入してくれた会員向けに持ち込み取り付けに対応した販売店への案内を行っています。ビジネス感覚に長けたオーナーがいる販売店では、そうした人たちを自店顧客にしようと、取り付けと同時に出来るメンテナンスやタイヤの交換などを提案しているところもあります。
現在、Webikeではそうした要望のある会員と販売店を強固に繋げるべく、Webikeポイントを通じて相互に結びつくシステムを作り上げました。Webikeで商品を購入するとポイントが付くのは従来通りですが、それを販売店への支払いにも使うことができて、店舗の商品やサービスを購入した時にもポイントが付与される仕組みです。
21年8月時点で、北は北海道から南は沖縄まで135店の店舗が導入しています。ちなみに新車や中古車を購入するとWebikeからオーナーに対して、車両価格の1%相当、最大で1万5000円分のポイントを付与する『納車お祝いポイント』サービスも好評です。値引きが難しい新車などに、実質的な優待を付けることができるので会員はもちろん、販売店にも喜んでいただけると思います」
新たに増えた二輪車ユーザーを、業界でも大切にするべき
──今後も販売は伸長していくのか、あるいは一時的なものなのでしょうか。
「二輪車業界全体と比較して見ると、今の状況は永続的ではなく一時的なものに過ぎないとみています。コロナ禍による外出自粛で出かけられないストレスや、一方で3密を防ぐコミューターとしてバイクが再評価されていることなど、購入に結びつく間接的・直接的な要因があったおかげではないでしょうか。
ただ、コロナ禍が落ち着けば、前の状況に戻るのでは。結果的に特需とも言えるこの状況から急激な落ち込みにならないかを危惧しています。しかし、そうしたライダー、新たに免許を取得してバイクを所有し、用品を購入してバイクを楽しんでくれる人たちを大切にしていきたいし、業界でもそのように取り組むべきだと思います。
前述した会員と販売店を結ぶ取り組みもそうですが、もうひとつサービスを展開中です。初めて伺う販売店だと、取り付けやサービスに対して不安なところがあると思います。今はインターネットで検索すると、検索サービスと連動して該当する販売店を表示し、投稿者らによる評価で判断をする場合もありますが、もっとダイレクトに評価できる取り組みです。
初めて伺う販売店だと、取り付けやサービスに対して不安なところがあると思います。今はインターネットで検索すると、検索サービスと連動して該当する販売店を表示し、投稿者らによる評価で判断をする場合もありますが、もっとダイレクトに評価できる取り組みです。販売店に向けた「バイクショップナビ」というサービスですが、会員が店舗をWebikeで検索し、利用して自分の行きつけの店舗として登録すると、評価が可能になるサービスです。実際の利用者が直接評価するので確実な評価が得られるのと、販売店も顧客満足度が測れるという仕組みです。
一方で、このサービスは自社のホームページを持たない販売店向けにWebikeで店舗を紹介するアテンド機能も提供しています。店舗の登録も内外装の写真やコメントを入力するだけでよいのと、スマートフォン利用者に向けてレイアウトも自動で最適化されるようになっています。さらに、Webikeの会員向けに販売店からの告知・発信も無料で提供しています。ちなみに販売店の情報はさらに細かく登録できるので、ニーズに合った会員へピンポイントでお知らせすることもできます。
弊社は誰よりもバイクを愛する企業として、ライダーが長く楽しめる環境を提供していきたいです。まだサービスを始めたばかりですが、ここからライダーを拡げて増やしていきたいですね」