東京都は、CO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現に向けて2035年までに、都内で新車販売される二輪車の100%非ガソリン化を目指している。
今回の実証事業はその一環で行われるもので、個人と事業者にEVバイクを貸し出し、板橋区施設(3カ所)やセブン・イレブン(9カ所)、ENEOS(3カ所)に設置したバッテリー交換スポットでEVバイクの充電済みバッテリーを交換、シェアリングしてもらう。参加モニターは個人向け30名と事業者向け10名の合計40名。
今回の実証事業に使用されるEVバイクとして、個人向けに「ヤマハE-Vino」(イービーノ)、事業者向けには「ホンダGYRO CANOPY e:」(ジャイロキャノピー イー)を用意。実証事業開始日の21年12月14日、「EVバイクバッテリーシェア出発式」が、都内板橋区役所内イベントスペースで開催された。
出発式には、東京都環境局の栗岡祥一局長と板橋区の坂本健区長、協力企業からはホンダモビリティソリューションズとヤマハ発動機、セブン・イレブンジャパンとENEOSホールディングス、出前館やドミノピザジャパン、コニカミノルタジャパン、トップワイジャパンなどの関係者が、そしてゲストとして、板橋区観光大使でもある俳優の杉浦太陽さんが出席し、バッテリー交換デモンストレーションに臨んだ。
開会に先立ち、主催者を代表して、栗岡東京都環境局長があいさつ。「この実証事業を行うにあたり、人口あたりのバイクの数が多く、電気自動車のカーシェアリングなど脱炭素への取り組みに積極的だった板橋区に声をかけさせてもらったところ、ぜひやりましょうということになり、積極的に動いてもらった。そして様々な事業者にも協力を頂いており、こうした様々なシチュエーションの方々に利用してもらうことでメリットや直したい点などを言ってもらい、メーカーにフィードバックしてEVバイクが普及していければいいと考えている」旨を述べた。
続いて坂本板橋区長が「板橋区はかつて道路の公害等の問題があり、いち早く『エコポリス板橋環境都市宣言』の名のもと、環境都市をつくろうということで進めてきた。今回の事業が東京都で初めてということで非常に注目を浴びている面もあるので、責任をもって取り組んでいきたい。今回の事業を契機に環境への取り組みをさらに進めたい」旨を述べた。
この後、小池都知事からのビデオメッセージが会場に設置されたモニターで流された。
「脱炭素化に向けて多様な主体が心を合わせ取り組みを」──小池都知事
小池都知事は「東京都は2050年にはCO2を排出しない環境先進都市ゼロエミッション東京の実現を目指して取り組んでいる。とりわけ重要となるのがこの10年間の行動で、マイルストーンとなる2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減するカーボンハーフを掲げ、あらゆる分野の脱炭素化に向けて行動を加速している。その一つが、都内で新車販売される二輪車を2035年までに100%非ガソリン化する取り組みである」
「私もEVバイクに乗っていたが、CO2を削減できるだけではなく、走っている時の音も静かである。一方で1回の充電で走行できる距離が短く、充電に時間がかかるという課題もある。その解決に向けて、今日からバッテリーシェア事業を開始する。今回、利用者モニターを募集したところ、定員40名のところに478名の応募があり、EVバイクへの関心の高さがうかがえる」
「脱炭素化のためには、関係自治体や都民、企業など多様な主体が心を合わせて取り組まねばならない。TIME TO ACT、今こそ行動を加速するとき。脱炭素という世界共通のゴールに向けて、行動の輪を広げていきましょう」と協力を求めた。
そして杉浦さんによるバッテリー交換デモンストレーションが行われた。杉浦さんは▽バイクのシート下にある空バッテリーの取り出し▽スマートフォンのアプリケーションを使った最寄りのバッテリー交換スポットの検索▽充電スポットに設置されているバッテリーボックスのQRコード読み取りによるボックスキー番号入力▽バッテリー交換▽充電済みバッテリーの車両への装着──までの作業を体験した。
板橋区に住み始めて12年という杉浦さんは「僕も50ccバイクに乗っていたことがある。板橋区は坂が多いので、バイクは必須で、乗っている人が多い印象がある。実証事業をするにはいい場所だと思う。音が小さいバイクは子育てにもいいと感じた」旨を述べ、今回の実証事業を歓迎した。
そしていよいよ実証事業がスタート。実証事業参加モニター(個人、事業者)らは、出発式出席者らに見送られながら区役所を出発した。