「5月までは生産遅れと海上輸送の混乱により、計画の台数を供給できず苦戦。しかし正規販売店網の尽力もあり、前年比95%ほどで踏みとどまることができた。下半期は計画に対してプラス20%の供給が見込めており、登録ベースで二桁成長を見込めるまで挽回できた」
支えてくれた販売店様のおかげと強調するのは、カントリーディレクター/ゼネラルマネージャー(GM)の戸田勝久氏。厳しい外的要因に振り回されたが、インディアンMCのブランド認知度を強く実感したと語る。
ブランド認知が進んだことで指名買いも多く、供給に遅れが生じても機会損失を極力避けることができたという。
「例えば初めてインディアンを知ったという知人も、まずブランドロゴを気に入り合計数万円におよぶアパレルを購入。その後、大型二輪免許を取得するため教習所に通い、インディアンMCのクルーザー購入を熱望している。なんという訴求力か」
圧巻のブランドパワーを見せるが、とはいえ気を緩めてはいない。ウェブからの新規問い合わせやカタログ請求へのレスポンスを早めるべく、CRM(顧客管理システム)構築に着手。全国20店舗に増えた販売店から、見込み客に対して迅速に対応できる体制づくりを急ぐ。
「皆様が指名買いばかりとは限らない。他ブランドへの流出を防ぎ、成約率を高めていく必要がある。それにまだまだ空白地域も多く、23年は3店舗でも4店舗でインディアンMC販売店に加わっていただきたい」
そして既存客へのサービスも着実に。全世界共通のオーナー組織「インディアン・モーターサイクル・ライダーズ(IMR)」を日本に正式導入。22年4月からメンバー募集を開始し、11月末現在で約600人が登録している。10月には初の公式ナショナルイベント「インディアン・ライダーズ・デイ(IRD)」第1回を山梨県・清里で開催。これには450名が集まった。今後も販売台数の成長に則してIMRメンバーを増やし、IRDを通じて絆づくりを進めたいと考えている。
そして23年。「販売台数は継続して二桁成長を果たし、3年後に1000台を目指す中期計画の初年度としたい」という。そのために掲げた3本柱はこうだ。
1 勢いを持続・加速させるための販売力の強化
▼販売店開発
▼トレーニング充実
▼商品展示の充実他
2 さらなるブランド認知度向上
▼イベント等出展
▼デジタル広告宣伝
▼IMRの拡大・活動強化
3 販売店との密な連携、台数増に対応するための社内改革
▼CRM強化
▼社内業務改善他
これらを実現するためカギを握る新商品については、下記の2台が23年の目玉となる。
▼FTRスポーツ
1200ccVツインエンジンを、マッシブなスタイルに搭載したFTRシリーズ。そのミッドレンジモデルとして、新たにFTRスポーツを導入する。
▼チャレンジャー・エリート
人気のバガーモデル「チャレンジャー」シリーズに、世界限定150台のエクスクルーシブ仕様「チャレンジャー・エリート」23年モデルを投入。他とは違うものを求めるライダーに訴求する1台だ。
この2台をはじめ、幅広いライダーに訴求する22年のラインアップ。まずは東京、大阪、名古屋でのモーターサイクルショーでお披露目となりそうだ。