株式会社ゴールドウイン ゴールドウイン事業本部
ゴールドウイン事業部企画グループ 伊藤建氏
環境配慮素材を使用、見えないところに機能を盛り込む
──1983年の「GWスポーツ」に始まり、2003年からは「ゴールドウインモーターサイクル」として、これまで40年間にわたり二輪車用品の製造販売を展開してきたわけですが、今回ロゴを含めてすべて「ゴールドウイン」にブランド統合されました。その狙いはどこにあるのでしょうか。
「これまでゴールドウインモーターサイクルとゴールドウインという2つのブランドが存在していて、それぞれの世界観の上でマーケティングや販売活動を行っていました。20年に渡辺貴生社長になり、「ザ・ノース・フェイス」ブランドの売り上げが多くを占めている現状にあって、自社ブランドであるゴールドウインの販売を国内外で強化したい、ゴールドウインという社名の付いたブランドを主軸に据え、社の一丁目一番地にしていこうというところで、今回の統合に至りました」
「今、海外へビジネス展開がシフトしていく中で、世界中に販売できるのは自社で持っているブランドとなります。そのような状況において、ゴールドウインブランドの規模感を上げていくという選択が大前提としてありました」
──販売ルート等に変更はあるのでしょうか。
「ブランドが統一されて、これまでの用品店様以外に販売チャネルとしては、世界に持っている直営店(原宿・丸の内・神田・札幌・サンフランシスコ・ミュンヘン・北京の国内外全7店舗)でも販売を見据えています。また、今後はブースを持っての販売も目指します。もちろん従来からの用品店様とは継続してのお付き合いをさせていただきたいと思っています」
──秋冬コレクションはどれもがシンプルなデザインになった印象を受けますが。
「今回、ゴールドウインに統合ということですが、正確に言うとゴールドウインから新たにモーターサイクルカテゴリーを出したということです。従ってデザインはもちろん、カラー展開やプロモーションのやり方も母体となるゴールドウインブランドになりますので、これまでとは大きく異なる印象になります。単に名前が変わったのではなく、ブランドのあり方から変わったのです」
「デザイン面で言うと、見た目はミニマルでフラットなイメージですが、バイクに乗る人へ向けた実用的な機能をできる限り見えない手法で追加しています」
──今回、全25型の新製品をリリースされましたが、これまで展開されていた高機能アクセサリー類(アンダーウエアやビーニーなど)も今後発売されるのでしょうか。
「ゴールドウインには、スキー、アウトドア、アスレチック、ライフスタイル、モーターサイクル、C3fitの6つのカテゴリーがあります。保温やクーリング関連の機能性商品はアンダー領域のC3fitというカテゴリーから出していますが、共通で使える商品は今後ライダーに紹介していきたいと思っています。シューズとソックスを組み合わせた提案等も展開したいですし、需要があればライダー専用品を開発して、商品ラインアップを増やしていきたいと思っています」
自然との共生を目指す
──今後の展開についてお聞かせください。
「これまでのような、機能優先の見え方がする商品は今後出しません。先述のようにミニマルでフラット、見えない所にライダーのための機能を盛り込んだ新製品を出していきます。まだ実物を見ていただいていない方が多いので、どうしても見た目が大きく変わったという面での拒否反応もあるかと思いますが、新しいゴールドウインのキャラクターを理解していただき、少しずつイメージを変えていくのが最初のステップだと思っています。
当社の創業時からのテーマである、"DEDICATION TO DETAIL=神は細部に宿る"に基づき、オフロードを背景にした商品を展開していきます」
「今回リリースしたコーデュラエンデューロジャケット(写真)などで使用している、環境配慮素材の採用も重要なポイントになっています。会社の方向性でもありますが、自然と密接したオフロードスポーツをブランドの軸にしている中で、そのアクティビティをする場所をより長く保つ──環境を守り続ける意識が大切だと考えます。環境素材を使用した商品を購入していただくことで、ライダーの意識が変わっていくことを願っています。また、この秋からは製品のリペア無償化に踏み切りました。愛着を持って長く、ゴールドウイン製品を使っていただきたいという思いからです。ライダーに自然との共生への意識変化が起こり、より長く二輪車の遊びが続いてほしいと願っています」
ゴールドウイン Goldwin
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