全国62店舗を構える二輪車用品チェーン大手「2りんかん」。9月13日には和歌山県に初出店を控えるなど成長を続ける傍ら、「2りんかん祭り」をはじめとするイベント開催にも精力的だ。15年にわたり舵を切ってきた石渡淳社長にその運営方針を聞いた。
画像: 和光2りんかんの56Designコーナー。カフェのようにくつろぐことができる

和光2りんかんの56Designコーナー。カフェのようにくつろぐことができる

━━本部のある和光2りんかんの店内を先ほど拝見しましたが、入るとすぐ右手に56デザインのコーナーがあります。1ブランドのコーナーとしてはスペースも大きく、また世界観が反映されているように感じました。

 「本気で造り込んでくれました。中野真矢代表も自ら汗をかいてくださるなどして、そこは『元GPライダーがそんなことまで…』と恐縮しましたが」

━━奥にあるレディースコーナーの充実ぶりも目を見張るものがあり、また商品選びに役立ちそうなスタッフ解説入りのPOPなど、店内のそこかしこに工夫が見られます。

「各店舗に店長の色が出ています。小売業は『店長産業』と言えるほど、店長はキーマン。店長の成長なくして店の成長はなく、店の成長なくして会社の成長はありません」 
「定期的に実施している店長研修では全店の店長をグループ分けして、その時々の商品やサービスの売り上げを3カ月間クールで競い合います。各グループで販促ツールを開発するなど、工夫を凝らして。こうしたことを10年ほど続けています」

画像: 和光2りんかんのレディース用品コーナー。専用試着室も備わり、女性客も安心

和光2りんかんのレディース用品コーナー。専用試着室も備わり、女性客も安心

━━店長ご自身の成長にもつながり、またさまざまな副産物も得られそうです。そうして個々の力を伸ばしながら、新店舗開発も続けています。この9月には全国63店に。今後も出店は継続されますか。

「今後も年間2~3店舗増やしていく計画です。年間9店舗オープンした年もありましたが、ここ数年は資材高騰や賃貸物件の家賃高騰などもあり、出店ペースは落ち着いています。近年は親会社のイエローハットが土地を購入し、建てた店舗を借りるというスキームも増えています(※2012年よりイエローハットグループに入り、㈱2りんかんイエローハットとなっている)」
「出店準備は以前1カ月かかっていたところ、棚割り化を進めることで2週間でのオープンを標準としています。店内のゾーニングを150坪パターン、200坪パターン、250坪パターンといった具合に標準化を進めました」

ライダーの駆け込み寺に

━━個性や工夫を大事にする一方で、効率も追求しているのですね。

「チェーン店として標準化・単純化・専門化をしっかりやろうと。そうすることによって店舗の作業減を実現し、スタッフがお客様と対応できる時間を増やすというスキームにしています」
「一方で売り上げを伸ばしている店と、そうでない店の違い。それはピットの消化能力が大きく影響しています。オイル交換やタイヤ交換をご依頼いただいた時に『今日は出来ません』『3日後になります』といった具合では頼りない。我々は『ライダーの駆け込み寺』を目指しているので、対応力は常に磨いていかなければ。車検事業と保険事業へ積極的に取り組んでいるのもその一環です。またライダーの平均年齢が上がっていることを鑑みれば『おもてなし』の対応力を更に高める必要もあります」

画像: 本部のある和光2りんかん。車検は全国62店舗で年間1万3000台をこなす

本部のある和光2りんかん。車検は全国62店舗で年間1万3000台をこなす

━━なるほど。ピットの消化能力については仕組みづくりと、整備士の技量を伸ばすこと。その双方が必要ですね。

「業務の単純化を進めるうえでは、かつて四輪事業で培ったシステムを活かしています。会計レジスターで入力した内容が作業ピットに伝わり、作業明細が自動的に出力されます。それをピットスタッフが見てお客様をお呼び出しして、説明・作業に当たるという流れです」
「スタッフの育成については、整備士資格の取得を支援しています。例えば3級整備士資格を持っている方が入社された場合は、3年間実務経験を積んでもらいながら講習を受け、2級整備士になっていただく。その費用負担もします」

━━今後どのような成長戦略を描いていますか。

「二輪車用品市場シェアの26%以上。これがひとつの目標です。市場規模から推測して年間売上220億~250億円前後といったところ。ランチェスター戦略で言えば、業界シェア26%を超えるとダントツの会社になれる。そして一人当たりの経常利益額は業界平均の2倍以上になると言われています。従業員により魅力的な職場環境を用意でき、システム投資なども進めることができます。そこを目指して規模拡大・粗利構造改革・情報配信の3本の柱で5カ年計画を立て、毎年PDCAを回しています」

━━今年も間もなく2りんかん祭りEast(8月24日)を開催するなど、イベントにも積極的です。これも成長戦略の一環でしょうか。

「もちろん重要な成長戦略のひとつです。イベントの企画運営は、お客様への利益還元と位置づけています。まず、粗利というのはお客様からお預かりしたものと考えています。これをどのようにお客様にお返しするか。例えば期間限定セールなどもその一つの手段です。十数年前には2りんかんレーシングチームを結成し、レース活動をしていた時期もありましたが、それがお客様への還元か、という疑問を持ち、その予算を他のことに使うべきという判断でレース活動から撤退をしました。そうした経緯で始まったのが『2りんかん祭り』や『サーキット走行会』、『ライディングレッスン』、『弐輪道CUP』など様々なイベントです」

━━実に多様なイベントが。思えばライダーたちへの還元に資するものばかりですね。今年も5月の2りんかん祭りWestが大盛況だったようですが。

「来場者数が8500人を超えたと見られます。昨年までと会場を変え、アクセスや入場・駐輪環境を整えたことで6500台以上のバイクが集まりました。私も実はバイクに乗って滋賀県まで行ったんですよ」

2024年5月25日に開催した2りんかん祭りWest。新会場に6500台以上のバイクが集結した

画像: 2りんかん祭りでは、いつもノベルティグッズ3000個を用意。2024年の2りんかん祭りWestでは、それが開始後40分ほどで配布終了となる盛況ぶり

2りんかん祭りでは、いつもノベルティグッズ3000個を用意。2024年の2りんかん祭りWestでは、それが開始後40分ほどで配布終了となる盛況ぶり

━━なんと、昨年も自走されたとYouTubeでレポートされていましたね。

「そう。昨年はSSTRに参加し、その足で行ったのでレポートしました。自走して到着した時の『やり切った』感はクルマでは得られないものだと実感します」

━━石渡社長ご自身も大いにバイクライフを謳歌されていますね。

「色々なイベントへバイクで参加することで、バイクに乗ることが楽しくなってきましたね。我々の主催するイベントはオートバイに乗ってもらうことを喚起するもの。きっかけづくりです。各店舗で開催しているFAN&FUNミーティングなど、スタッフとお客様との接点も増やしていければ、と考えています」

━━先ほど「駆け込み寺」というお話がありました。困ったときだけでなく、楽しみを求めて2りんかんに向かうライダーもますます増えそうですね。ありがとうございました。

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