現地にはモトクロスなどで活躍するライダーがたくさんいるのですから、自信を持って提示できるのは私が元気に走り続けるノウハウのみ。
誰だって自分が可愛いし、大好きなバイクにずっと乗り続けたい。それは世界共通です。10年、20年、あるいは30年後も元気に走り続けるには、どんなことに注意すべきか。
キーワードはバイクへ好奇心を持ち続け、交通事故を賢く避けて、より味わい深くバイクを楽しむこと。これらが速く走るノウハウより優先すべきことだと、彼らはちゃんとわかっていました。
そのための詳細なノウハウならいくらでも提示したい!とあいさつしたら、率直に反応してくれました。
高齢になっても元気に乗り続けるには
高齢になってもバイクに乗り続けるには、根性と度胸と腕力に依存する乗り方はNGです。若い時から、高齢時のさまざまな衰えを想定したスムーズな走りを心がけることこそ、優先すべき重要ポイントだと思います。従来からあるライディングノウハウの提示は、もはや古いのかもしれません。
日本にも元気な70代ライダーはたくさんいますが、その一方で「そろそろ引退かな?」とほのめかす50代後半や60代ライダーが意外に多いと感じています。理由は、腕力・体力が落ちても通用するライディングのノウハウを習得していないからです。
タイも同じです。日本のように少子高齢化の影響がいずれ出てくるのでしょうが、バイク販売店のいくつかは「高齢でも楽しく乗り続けること」が、将来のバイク市場の活性化にとても重要性であることを理解しています。このことは、彼らと話し一緒に練習をして強く実感しました。
日本も、ライダーを今まで以上に大事にしたいものです。そのためにはもっと乗りたくなる環境作りと、バイクを降りないで済む環境作りが必要です。
①事故を起こせば家族が反対し、バイクに乗ることを止めざるを得なくなります。事故を起こさない、巻き込まれにくい具体的なノウハウ提示を続ける。 ㈪ツーリングで疲労困憊すれば次第にバイクから遠ざかってしまう。ならば低疲労な走り方を伝え続ける。
②ツーリングで疲労困憊すれば次第にバイクから遠ざかってしまう。ならば低疲労な走り方を伝え続ける。
③車庫や駐車場で取り回しに苦労しているライダーに具体的な処方箋を提示し、一緒に解決する。加齢するほどこれは深刻な問題です。
これらの私が言うことなど、絵に描いた餅と解釈するのは簡単です。
しかし、これらのひとつでもいいから、どのようにしたら解決可能なのか考えてほしいのです。最終的には、これを読んでくださっている方々の意欲と実践力の継続にかかっていると思います。
プロフィール
柏 秀樹(かしわ・ひでき)
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。