※本記事は2025年1月1日発行の本紙「新年特別号」に掲載したものです。

22年から24年までジェネラルマネージャーを務めた佐伯氏
「23年11月~12月の2カ月で約140台。24年は10月までに880台近く売れており、R1300GSだけで年間販売台数1000台を超えたことになる」
24年を通じての販売台数も1000台超えがほぼ確実だ。1機種でここまで売れた製品はまずないだろう、と佐伯氏。「ドイツ本社が収集しているデータを見ても、R1300GSは大型車として抜きんでた販売台数。世界中で認められていることが分かり、非常に心強い」とも語る。さらに24年11月15日にはR1300GSアドベンチャーが国内販売を開始した。
「今回は、R1300GSアドベンチャーにより高剛性のリアフレームを採用するなどし、『旅するバイク』としてのキャラクターを明確に打ち出している。スポーティー路線のR1300GSとの差がハッキリして、お客様からすれば選びやすくなっただろう」

新装備を搭載した新型アドベンチャーの発表会も開催された
歴代GSのユーザーはロイヤリティが高く、新型GSへの乗り換え需要が旺盛という。関係者の期待も高まるところだ。
また、もう一つの稼ぎ頭であるスーパースポーツM1000RR、S1000RRいずれもモデルチェンジ。順次国内導入される予定となっている。24年にはBMWがスーパーバイク世界選手権(SBK)を制したことも手伝い、自信を持って販売できそうだ。
「BMWモトラッドとして、SBK15年目のチャレンジがついに実った。浮かれるわけではないが、新型機種をしっかりお客様に届けたい」
BMW製スーパースポーツのファン(購入希望者)であれば、王座獲得により一段と期待値も上がるはず。そこに応えていきたいところだ。なおネイキッドのM1000R、S1000Rの新型モデルも国内導入予定だ。
また24年は新型R12/R12nineTの発売もあった。BMWモトラッド・ジャパンとしては10年ぶりにカスタム・プロジェクトを始動。R12をベースに、国内4ビルダーが個性豊かな作品を世に出した。その1台が石川県・千里浜を疾走した動画がインスタグラムに公開され、7.3万ユーザーのLIKEを集め、244万回も再生されている(24年12月19日現在)。
「4台のカスタム車両は、12月のヨコハマHOT RODカスタムショーでも注目していただけた。BMWモトラッドの新たな魅力、楽しみを示すことができたR12カスタム・プロジェクトであった」と佐伯氏。引き続き、このセグメントも盛り上げていきたいところだ。
また近年ホットな400ccクラスへの対応はどうか。BMWモトラッドとしては、EICMA2024でF450GSコンセプトモデルを披露。現地の広報担当者は「25年中には市販化したい」と語っているが……。日本では「導入時期は現時点で未定」といった状況のようだ。製品化について具体的な情報は届いていないという。

EICMA2024で発表されたF450GSコンセプトモデル
販売網については現在、国内64店舗。山梨県や奈良県、和歌山県、宮崎県、鹿児島県などはまだ手薄であり、「最寄りのディーラーまで100キロ以上走って行かなければならない」というユーザーもいるのだという。そうした商圏を中心に、まだまだ拡充していきたい。
もちろん店舗開発だけでなく、販売の質も上げるべく活動を継続している。
「やはり、お客様満足度を上げる努力は続けたい」
例えばBMWのカーディーラーも持つ企業から、ビジネスの機微を抽出して共有する取り組みも。
「輸入車販売の現場では『国産車より工賃が高い』といったクレームを受けることもままあること。しかし、そうした困りごとの報告が一切ないディーラーがあった。そちらにヒアリングなどしてみると、ビジネスとして『やるべきこと』をしっかりなさっている。特別なことではないけれど、地道な取り組みの積み重ねが、そこにはあった」
どれだけ顧客と向き合っているか、代表自ら真摯に課題解決を進めているか、そしてその姿勢が店中に広まっているか。必ずしも大規模な投資をせずとも、姿勢ひとつで成果を上げることはできる。そうした取り組みを共有し、販売網全体でサービス品質を底上げしていきたいと佐伯氏は語る。
その上でBMWモトラッド・ジャパンとしては「顧客の購買体験を変えたい」と、新たな挑戦にも取り組む。国内にあるすべての在庫をオンラインで検索し、製品を購入しやすくする仕組みを導入する計画だ。
なおBMWグループ内の人事異動により、1月1日をもって佐伯GMに代わり、大隅武氏が任を引き継ぐこととなった。

25年1月1日よりGMに着任した大隅氏