スーパーカブは、1958年の「C100」登場から歴史が始まり、今年で早くも60周年。特に新興国では使い勝手・燃費の良さから貴重な移動の手段として使われ、昨年は世界生産累計1億台を達成。誕生の地・日本では、ビジネスなどの実用に限らず、オーナーそれぞれの自由な発想で、自分の使い方や個性に合わせたカスタマイズを施すなど、趣味性の高い乗り物としても使われている。そのため、ユーザーの年齢層も高校生から高齢者まで幅広く、スーパーカブの魅力の大きさがうかがえる。
「カフェカブミーティング」はその名のとおり、コーヒーを飲みながらスーパーカブを語り合う場として、1997年に東京・青山のホンダ本社ビル1階にあるコミュニティスペース「ホンダウエルカムプラザ青山」を会場に第1回がスタート。地方での開催要請
も多く、京都や九州、北海道では「カフェカブパーティー」の名称で開催されている(in青山も当初は「カフェカブパーティー」の名称で開催)。「in青山」は、カフェカブ運営事務局の企画運営でホンダウエルカムプラザが主催し、「in京都」「in熊本」は、カフェカブ運営事務局がホンダの協力を得て企画主催している。
今年の「in青山」にエントリーされたスーパーカブは両日合わせて606台。2日間通しのダブルエントリーはできないが、スーパーカブでの一般来場は可能で、初日には2日目にエントリーしたオーナー、2日目には初日にエントリーしたオーナーが来場したこともあり、延べ台数は約1200台に達した。
エントリー車両は、カフェレーサー風カブや、荷物をたっぷり積み込んだ〝旅仕様〟カブ、ヤレ感たっぷりのカブ、サイドカー仕様、スプリンガーフォークで主張するカブ、あえてサビ風カラーを施したカブや本当にサビだらけのカブ、もはやカブには見えないぐらいカスタマイズされているカブなど、個性豊かなカブばかり。コーヒーを片手に1年ぶりのこの会場での再会に談笑し親交を深めるユーザーが多くみられた。
同ミーティングは、イベントコンテンツとして▽オーナー同士でお気に入りのスーパーカブを投票し合う「コンテスト投票」および「コンテスト表彰式」▽スーパーカブ開発担当者とスーパーカブを愛好する有名人らを招いてのトークショー「バイクフォーラム」▽協賛企業提供商品を用意した「じゃんけん大会」──を企画。各コーナータイトルは2日間とも同じだが、バイクフォーラムについては、「2日間来場した人にも新鮮味を持ってもらうため、登場するスーパーカブ開発担当者は変えている」(ホンダ広報部二輪広報課・高山正之氏)という。
今回のバイクフォーラムは、新型スーパーカブC125の開発に携わった本田技術研究所の松本安弘さん(3日)と勝田淳平さん(4日)、そして俳優・ヨガ講師の下館あいさんとモデルの下川原利紗さんを招いて開催。開発担当者からは、誕生から60年という長い歴史の中で▽スーパーカブが世界の各エリアでどのような役割を担ってきたのか▽スーパーカブの特徴である〝独創の車体パッケージング〟──について踏まえた上で、ニューモデル・スーパーカブC125の開発の狙いとして「現代の『豊かな生活』との調和」を掲げ、▽走りの快適性とゆとり▽「装備」の上質感▽スタイリングの普遍性──について力説した。
このほか、タイのホンダ二輪車現地法人APホンダが、地場の飲食・アパレルブランドと共同開発したカフェスペースのあるライフスタイル型販売店「Cubハウス」や、タイでのスーパーカブのカラーバリエーションなどについても紹介。カブハウスについては、「カルチャー」「ユニーク」「バイク」の頭文字から取った名前で、バイクと二輪車用品とカフェを融合させたオシャレな空間を演出したもの。来場者からは「ぜひ日本にもつくってほしい」との声があがるなど、終始和やかな雰囲気の中でトークが展開された。
バイクフォーラム終了後には恒例カフェカブコンテスト表彰式が行われ、人気投票1位~6位をはじめ、▽遠来賞=台湾からの参加者▽最年少賞=17歳・免許取得後すぐにカブを購入▽最年長賞=74歳・カブ歴50年▽レディース賞(女性参加者の中から選出)=父親に塗装してもらったカブで参加▽タンデム賞(素敵な雰囲気のタンデム参加者)=C125で父娘で参加▽ヤレ感賞(使い込んでいる
感のある車両)▽協賛企業各賞▽バイクフォーラム各ゲストおよびホンダスマイル賞――の各賞が発表されるとともに、協賛企業からの提供品が贈られた。
締めくくりには、協賛企業から用意されたウェアやグッズを用意したホンダスマイルとのお楽しみじゃんけん大会を開催。最後には、スーパーカブ60周年を記念して、本田技術研究所自己啓発チームによるペーパークラフト(60周年モデル)が用意され会場が沸くなどし、イベントは盛況裡のうちに幕を閉じた。
紙面掲載日:2018年11月30日