今年の東京モーターサイクルショーでKYMCO(キムコ)は、電動(EV )スーパースポーツモデル「SuperNEX」(スーパーネックス)を披露し注目を集めた。ショー開幕の3月22日には台湾キムコのアレン・コウ会長(写真)がメディアの合同インタビューに応じ、将来のEV車に向けた考えなどを語った。

現在、車両製品の動力源はエンジンからEVへ時代が変化。キムコは次のEV時代で「世界一の最先端ブランドを目指している」とコウ会長は強調する。発表したスーパーネックスは、スーパースポーツ(SS)のカテゴリー。SS車の世界では製品競争が激しく、技術的な性能のほかにブランド力も重要なカギとなることを指摘。SSの世界でブランドを構築するために、同カテゴリーへの参入の考えを明確にした。

同社ではSS参入では現在のエンジン車にユーザーが満足しているかを考査。EV製品で最もユーザーが満足できる製品を提供したいとしており、動力がエンジンからEVへ移行する「今がEVでのチャンス」との考えを明かした。さらにスーパーネックスでSSEV車では他社よりも一歩先へ抜きん出たい考えだ。

課題となる充電では、昨年発売したスクーター主体の充電システム「アイオネックス」で、充電のためのバッテリー充電設備、ステーションなどの充電拠点を提供することで課題は解決したという。大型車のEVでは四輪自動車同様の充電設備の利用とする考えだ。

コウ会長は、四輪ではEV化が進み量産に向け取り組まれ、そうした意味で今年は二輪車も含めて「EV車元年」と位置づける。市場やメディアの注目も一層高まり、充電環境、整備が今以上に進むと判断する。特に都市部で普及が広がるとの見方を示した。

充電拠点ではアイオネックスでIT企業のヌードー社と開発し、昨年6月の発売以来米国では100以上の注文を受け生産が追いつかない状況にあるという。今後3年間で充電設備が増えていくと見込んでいる。その一方で、充電設備を設置するのは外部企業だけではなく、設備の設置が行き届かない地域もでる可能性を指摘しており、メーカーとして設備空白地域への支援の考えも示した。

ただ、EV車への移行ではメーカーとしての台所事情の課題も多いと明かす。EV車の生産比率が高まれば、それまでのエンジン生産のためのサプライヤーとの関係を縮小せざるを得なくなる。同社はこうした諸問題を解決して「EV車の世界でのリーディングカンパニー」を目指していると強調する。

一方、EV車はクラッチを必要としないものの、スーパーネックスはギアチェンジのクラッチ操作を可能にしたことや、速度に合わせたサウンド機能をあえて装備。同社では、SSのエンジンモデルのように速度を上げるためのクラッチ操作や排気音は二次的な楽しみであったが、クラッチや音はスピード感覚を楽しむための感性的に訴える楽しみにもなっており、ライダーが求めるものと捉えている。こうした機能によりスーパーネックスはライダーとの一体感を重要視していることを強調する。

画像: 台湾キムコ アレン・コウ 会長/EV車「今がチャンス」 「世界一の最先端ブランド」狙う

紙面掲載日:2019年4月26日

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