キムコブランドを展開する台湾・光陽工業が設立されたのは1964年。ホンダと技術協力契約を結び、二輪車の製造・販売を開始した。そしてキムコを立ち上げ、その製品が日本上陸を果たすのは2000年のことだ。

今回、キムコジャパンの統括部長としてインタビューに応じた平井健三氏は、上陸当時からその品質を知る一人である。

輸入スクーター専門店の支配人としてキムコに関心を持ち、工場を視察。ホンダ同様の工作機械を用いた、高品質なものづくりを確かめ、当時の社長にもインタビューも行ったという。

15年に直営子会社として立ち上がったのがキムコジャパン。現在は国内に約210店舗の販売網を構築している(23年にも10店舗加入)。修理のみ受け付けている部品取扱店、ATV(四輪バギー)取扱店も含めると国内620店舗になる。

「キムコスクーターの魅力は、イタリア風のデザインとホンダ流の技術。欧州各国でもトップ3を競うブランドであり、日本でも着実にファンが定着してきている」

平井氏がそう語る背景には、23年6月~9月に実施した調査の結果がある。乗り換えユーザーを対象としたキャンペーンを実施し、下取りに出した機種、メーカーについてしっかり把握した。

「その多くは、キムコからキムコへの乗り換えだと分かった。ただ1機種、キムコKRV180TCS(以下KRV)を購入した方々を除いては」

22年5月に日本導入されたスポーツスクーターKRVは、水冷単気筒175cc 4バルブエンジンを採用。そのエンジンとトランスミッションをフレームに搭載し、多くのスクーターのようにユニットスイング式でなく、独立スイングアームとするなどスポーツ性能にこだわった造りで人気を獲得している。

「このKRVを購入されたオーナー様だけは、他社製品からの乗り換えが多数。1000ccのスーパースポーツや、オートマチック・スポーツ車など、日本車からの乗り換えが目立った」

画像: 他社製スポーツモデルからの乗り換えも目立つキムコKRV180TCS

他社製スポーツモデルからの乗り換えも目立つキムコKRV180TCS

また主なラインアップとしては、販売台数でKRVを上回るGP125VCBSがある。18年発売のベーシックなスクーターで、税込22万4950円と戦略的な価格となっている。こちらは主に「新規ユーザー様がキムコファンになってくださるように」という思いを込めた、エントリーモデルという位置づけとなっている。

モダンクラシックなデザインで、イタリアのユーザーを魅了した「LIKE」をベースとしたアローマ150も好調だ。日本向けにシート高を低く、760mmとした新設計ボディを採用している。

「これで女性ファンを獲得すると思われたが、ふたを上げてみると50代~60代男性が購入層。気軽に乗れること、イタリア製スクーターよりも安価(税込35万9700円)であることが支持されている」

画像: モダンクラシックなデザインで人気を博すアローマ150

モダンクラシックなデザインで人気を博すアローマ150

他にも大経16インチホイール採用のターセリーS150、大容量ラゲッジスペースを備えたXタウンCT250なども欧州の人気スクーターを日本市場向けにラインアップしている。

ただ23年のセールスについては、少し苦労したという。

「春から秋口の繁忙期に一部車両が入荷できなかった。部品不足などが響いてのことだった」

24年は、4~5機種の新規導入を検討中。販売網の整備については、特に既存店へのフォローを手厚くする方針だ。

「安心してキムコを取り扱える環境を整えている。例えば中古車仕入れ時に必要となる部品の安定供給。キムコの車両であれば、すぐに商品化でき、車両の回転率を高めることができるはず」

引き続き部品在庫は充実。一時は半導体不足などもあり、注文部品の即納率が下がることもあったが、現在は95%に回復している。2週間以上のバックオーダー率は1%未満を誇る。台湾本社などから取り寄せる必要があれば、毎月3回程度の航空便を使うのだという。

また二輪車販売店やユーザーには馴染みが薄いものの、ATV(四輪バギー)もキムコの強み。欧米では個人のレジャーに用いられているのに対し、日本においてはバギーアクティビティ施設で主に導入されているという。使い方、遊び方など提案していきたいと平井氏は語る。

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