ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)のグレッグ・ウィリス社長は2019年を振り返り、強いディーラー網の構築、新規ユーザーとの関係づくり、さらに成功へ向かい始めた1年と総括。新型車は高い評価を受け、キャンペーンやECなどを起点に、新たな顧客との接点を着実に重ね成果をみたという。20年は新セグメントへの参入計画の準備。製品構成の充実で例年になく新規ユーザー獲得で飛躍できる年と期待を寄せる。昨年以上にディーラー網の強化を推進し、ユーザーに身近なHDとして体感機会の提供、改善して復活する大イベントのブルースカイヘブンの計画も示唆している。

19年、同社では二輪市場が伸びを示しエキサイティングな状況であったと認識。一方で「成功へ向かい始めた1年」「強く充実したディーラー網の構築」「新規ユーザーとの関係性づくり」に邁進したという。8月は20年モデルを投入しソフテイルシャーシを搭載し復活した「ローライダーS」、トライクの「CVOトライグライド」も発売。新ライダーサポート安全技術「REFLEXディフェンシブライダーシステム」搭載の各ツーリングモデルもユーザーから高い評価を得たという。
 10月の消費増税の影響は極めて限定的としたうえで、9月に駆け込み需要があり、10月に一時的な落ち込みもあったが、新型車の好販売などが牽引したとしている。

例年実施する免許取得支援策の「パスポートtoフリーダム」も実施し、過去3年間で最も成果を上げたと評価。日本は世界的に見て全購入者に占める新規ユーザーが7割前後に達し、他国にない例と指摘。新たなユーザーとの関係性づくりが、順調に進んでいると強調する。さらに新たに1年以内の買い替え支援の「フリーダム・プロミス」は、店頭への誘客に貢献し一定の成果を得たと評価する。

他方、長期的な活動の位置づけで一般広域に対し音楽ライブなどのエンターテーメントに広げた活動を多数展開。音楽に限らず日本の文化との共同企画も展開予定。こうした活動はHDとの接点を持ったユーザーとの強い関係性を築けると、活動を拡大する考え。

ブルースカイヘブンの開催については改めて再定義と改善に向け検討したという。

20年以降の製品については、新たなセグメントへの参入計画を控え、ディーラーと携えて体制の整備を進める必要性を挙げる。20年は「新しい顧客をこれまで以上に誕生させる年」と位置付ける。これまで主な販売の対象ユーザーでは免許区分の影響で約35%に限られていたが、製品の拡充でこれまでの対象を超えたセグメントのユーザーと接点を生み出せるため、拡販機会の創出に期待を寄せている。こうした製品の販売ではディーラーと協力し戦術などを慎重に見極めていきたいという。

他方、中期計画「More Roads to HD」で挙げる、先の新型車の登場やHDJとしての「強い充実したディーラー網の構築」では、昨年以上に強固に推し進める決意。同時に「ユーザーに身近なHD」を目指し、多くのユーザーに体感機会の提供を挙げる。 強いディーラー網の構築では、現在118拠点。ディーラーはブランドと顧客との接着点として、販売手法やアフターサービスなどで、質、体制の強化は不可欠としており、ディーラーへのエクスペリエンスをより満足度を高めるため、営業やサービスのトレーニング部門を中心にディーラー向けの研修会や個別訪問などを重ねる。

短期的に販売力のあるディーラーの誘致よりも、現在の既存店と顧客満足度を高めることが最重要としている。ディーラーは顧客と、HDと共にある暮らしをサポートする気概を強く持つことが特長で、顧客に楽しみを与える姿勢、取り組みがディーラー網の強化で大切な軸足という。

ユーザーに身近なHDの構築では、アクティブに"乗っている"ライダーとの接点を増やすことに注力。試乗会などを開催するかどうかよりも、アクティブなライダーとの接点がどれだけ見込めるかを重視する考え。

他方、ECは最も重要な接点としており、同社ECサイト購入者の約82%がHDと接点がなかった新規ユーザーという。Tシャツなどの身近なアパレル製品を入口にブランドとの接点が生まれ、さらに車両購入に至るケースも増えたという。

G・ウィリス社長

紙面掲載日:2020年1月1日

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