同社ではMCショーなどのイベント会場で、製品以外にも取り組みでの訴求を予定していた事柄が、多数あったとしている。昨年の春から輸入販売を始めたSYMでは、車両の販売を本格化させるにあたり、販売網の整備を進めていく考えで、イベント会場で販売店へもアピールや商談を予定していた。
すでに過去にSYMを販売していた、すべての二輪車販売店に連絡を取り、SYMの新しいラインアップの販売意向についてのヒアリングを進めてきた。取り扱いに興味は持っていても、過去の販売体制などで改善を求める販売店も少なくないとしており、そうした懸念点を一つひとつ丁寧に取り払うよう、努力している最中でもあると、流通段階での取り組みを挙げる。
同時に専用ホームページを充実させるなど、販売を支援できる環境の整備を進め、取り扱い販売店が売りやすく、同時にユーザーが購入しやすい環境を整えていくとしている。
オフロードが主力のファンティック、ファッショナブルなランブレッタでも同様、これまで通り1台からでも注文を受ける体制を維持しつつ、実際に車両を在庫し、多くのユーザーに見てもらえる、あるいは提案できるような販売拠点を設けていく予定でいる。
特にファンティックでは、独自のイベント開催も企画していたが、今年は時勢柄断念せざるを得ないと肩を落とす。しかし「お客さまに『遊びのツール』としてのモーターサイクルを提供し、その楽しさを広げていく」と、今後の活動姿勢には一切のブレはないと強調する。
一方で、今後予想される販売への影響や対策、施策などについては、3ブランドにおいて「当面は厳しく、(販売など)影響があることは避けられない」との考えを示す。モーターサイクルは遊びの道具であり、生活必需品ではないことから、今の危急の際には購入やイベントなどが優先されないことは、やむを得ないとしている。
だが、野口社長は割引きキャンペーンなどで販売を一時的に高めることには、長期的な効果が望めないと指摘する。同時にブランド価値も下がるとする。趣味や遊びのツールは、値引き以上にユーザーが商品を得ることで、どれだけ楽しめるのか。その価格に対し商品やイベントなどの楽しみ、サービスが上回れば、割引キャンペーンの必要はないとの考えだ。
文化や文明が発達した日本においても「人が人らしく生きていくためには、趣味であり文化であるコトに、時間を割いていくのは必然と考えている」と野口社長は述べる。また、モーターサイクルは「まさに人にしか持ちえない趣味であり、文化でもあり、必ずやその楽しさに再び目を向けるお客さまが増えていくことと確信している」と将来を見据える。
長期間の外出を控え、人との接触を避けることが求められた後には「抑えていた開放感を求め、モーターサイクルならではの楽しみを得ようという思い、爆発的な動きは必ず来る」としている。さらに「そうした時にユーザーに選択してもられえるブランドを目指し、ユーザーや販売店に継続的な情報発信と、期待に応えられる商品やサービスを用意することが肝要だ」と強調する。この機会に同社では、基盤固め、細部で改善などに取り組む意向を示す。