東京都世田谷区で20年以上、二輪車販売店を営んでいる「モトショップ功和」。取り扱っている車両は国内4メーカー以外にも最近では、電動二輪車も手がけている販売店である。社長を務める小川功さんは新車が届かない近年の販売店共通の悩みに対して、お客さんを楽しませる参加型のファンライドに注力。結果、多くの参加者が集まっているという。その楽しみ方を聞いた。
画像: 「自分の趣味に合った人たちと楽しみたい」

モトショップ功和 代表取締役 小川功氏

画像: 中央が代表の小川さん。右が最古参の社員、加藤政敏さん、左が石黒仁邦さん

中央が代表の小川さん。右が最古参の社員、加藤政敏さん、左が石黒仁邦さん

「ウチはファンライドだけどハードなファンライド。でも、参加したみんながアハハ、オホホと終始、笑っていられるイベント」と、笑顔で話す小川さん。以前はサーキット向けのイベントに力を入れていたが、今はオフロード系に特化。小川さん自身も参加してお客さんと一緒に満喫しており、その内容を聞くと返ってきたのが、冒頭のコメントだ。

オフ系に注力したきっかけを聞くと「オフ系のイベントを主催している“プロショップエディー”の根本氏から『サーキットを走るのもオフロードを走るのも一緒だよ』と誘われたから。ラインの読み方とか、サスペンションのセッティング、バイクの走らせ方など、オンもオフも共通することが多いと言われた。改めて考えると得心することもあって、オフの方に比率が高まっていった。

それとランニングコストもサーキットとオフロードでは大きく異なる。サーキットメインだとタイヤも高価で、交換頻度も早くなるけど、その点オフロードでは前後ワンセットで1年くらい使えるからね。あと、ドキドキやワクワク感は一緒だから!」と、嬉しそうに話す。
ハードなファンライドとはいうものの、マニア向けにしてしまうと参加する客層もがらりと変わるそうで、そこまで踏み込まないことで参加者も補修やメンテナンスで来店してくれるという。

また、興味はあるけれどオフ系の車両を所有していない人や、初めての参加者に向けた取り組みとして貸し出し用にカワサキ・KX-Ⅱ、同KLX125に同110L、同スーパーシェルパのほかKTM・フリーライドなどを用意。レンタルウエアも用意している。

さらに、アタックツーリングも開催。“こんな所を走るのか”と、参加者から驚かれることもあるそうだ。参加者も開催毎に増えており、スマートフォンのSNSアプリではオフロード好きな愛好者が40人以上参加して、コミュニケーションを高めているという。

画像: オフロード系のイベントは最近ではコースで開催することも多い。写真中央のトライアルの車両は小川さんの愛車

オフロード系のイベントは最近ではコースで開催することも多い。写真中央のトライアルの車両は小川さんの愛車

今では東京都でオフロードに強い販売店と認識され、インターネットで検索すると上位に表示されるという。また、以前は「カワサキCS2」というカワサキ車のオーナーを中心にサーキットイベント、ツーリングなどを販売店仲間と一緒に開催していたが、2年前にNPO法人「モーターサイクルCS2」に生まれ変わり、メーカーやモデルカテゴリーの垣根や枠にとらわれることなくイベントを展開しており、こちらも好評だそう。さらに「レンタル819」に加盟する販売店の仲間と一緒に“プライダース”というレースイベントも開催。いずれも楽しい催しとなっているという。

「自分と同じ趣味のお客さんが来てくれれば良い。みんながやっている事を俺もやっているだけ」と話す小川さん。ただ、その一方で、これまでとは方向性を変えなければいけないと、強く感じている事があるという。最近は、若いお客さんたちをイベントに誘っても『一緒に走っても遅いんで迷惑になりますから……』と敬遠されてしまう。それと、いままでのお客さんも年齢を経たことで徐々にバイクから離れていく人も出始めてきた。何か仕掛けを考えないとね」と、語る。

初心者の気持ちを知るため家族を利用

そこで小川さんが、これから始めようとしているのが初心者向けのツーリング。家族をモデルケースとして使ったという。普通二輪免許を取得したばかりの娘、息子と一緒にツーリングに出かけることで、二輪車に不慣れな初心者の考え方や行動を知ることで気持ちを掴もうと考えたそうだ。
「子どもたちは小さい頃からサーキットやオフロードコースを走っていたのでバイクには慣れ親しんでいるけど、免許を取って公道を走るのは別だからね。一緒にツーリングに出かけると目から鱗が落ちることがいっぱいあった」と話す。

具体的には、教習所ではギアを3速までしか使わないので、それ以上変速させて走ったことがなかった──。千鳥走行で走る理由も方法も分からなかった──など、ベテランの領域では感じられなかったことが、たくさんあったという。
また、インカムを装着して会話しながら走行していた時に「いつもは自動車で通るルートなんだけど、バイクだと景色が拡がって見えたことで『お父さん、風になったよ!』と言われた」のがすごく印象に残っているという。ちなみに子どもと一緒にツーリングに出かけたことで、奥さんから3人で行きたいと言われたとか。

電動二輪車で新たな客層を開拓

ファンライドばかりではなく車両販売にも力を入れており、直近では電動二輪車の取扱いを増やした。「スマホでも常に新商品を持つ、新しいモノ好きな人っているでしょ。そんな人たちが興味あるみたい。電動オフロードモデルのSUR-RONは問い合わせも多いし、先日も数台売れた。XEAM(ジーム)は最近、公式ホームページが刷新してウチが東京23区で唯一の公認販売店として紹介されていることで、1日2~3件問い合わせがくる。電動二輪車はメリットやデメリットを説明する必要があるけど、注目度は高いね」と愛好を崩す。

画像: ジーム社の電動二輪車は販売だけではく、レンタル車両も用意する

ジーム社の電動二輪車は販売だけではく、レンタル車両も用意する

他方、お客さんの中には避暑地で別荘を所有している人も多いそうで、そうした人たちが別荘地で移動手段として電動二輪車を購入する例も少なくないという。「バイクを自動車に積載して持って行くのだけど、車重も軽くて車内がガソリン臭くならないのが評価されているみたい。今後はそうした富裕層向けにPRしていこうかと思う」と続ける。

ただ、ここ直近の悩みはやはり新車がないことだと言う。「今まで順調に商談を進められていたのが、新車の納期が不明になってきたことで商談が出来なくなってしまったのがツライ」とこぼす。それでもお客さんが来店する“仕掛け”を進めており、電動二輪車ではメンテナンスをセットにした販売で来店を増やす仕組みを導入している。お店に足を運んでくれるきっかけになってくれれば、と話す。

実は以前も電動二輪車は扱っていたが、バッテリーの重量と航続距離の問題でかなり辟易したことがあり、直近10年間は難物として扱わなかったという小川さん。
今は品質が大幅に向上したと判断して積極的に導入。こうした持ち前の柔軟性と行動力で売れる商品をラインアップ。今後も、お客さんと一緒に二輪車ライフを楽しむ催しを仕掛けていきそうだ。

画像: 電動二輪車で新たな客層を開拓

◆モトショップ功和 ▽所在地=東京都世田谷区代田3-25-15
▽営業時間=10時~19時▽定休日=月曜日/毎月第1日曜日・第3火曜日
※イベント開催日は臨時休業あり
▽☎03・3412・6161
http://www.ms-kouwa.co.jp/

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