20年8月より日本法人のジェネラルマネージャーを務める西光寿氏はこう語る。
「3ブランドの中で最もレース志向が強いKTMは、21年1月~9月の前年比が102.7%、プレミアム志向のハスクバーナ・モーターサイクルズも132.7%と大きく伸長した。オフロードを主戦場とするGASGASは比較的低価格のラインとなり、これも好調となっている」
3ブランド合わせた21年の販売数見込みは、20年の3700台から16.2%伸長となる見込みだ。
21年は前年に引き続き、コロナ禍の影響で大型のイベント開催などは叶わなかったが、車両の入荷が比較的順調だったことが好調の背景となっている。
「生産や輸入の滞りはあったものの、お客様をお待たせしないようには出来ている」と語る西氏は、自ら本社へ定期的な連絡を取り日本へのサポートを熱心に働きかけることで、入荷を促進してきた。また、本社へは要望を出すだけでなく、本社購買部門と日本国内に20~30社あるサプライヤーとの橋渡しをする購買部門を日本に新設するなど、メーカーとしての機能も一部持たせた。
22年についてはコロナウイルス感染症の状況が好転すれば、様々なイベントに出展していく考えだ。やはりダカール・ラリーなどモータースポーツで勝ち取った数々の栄冠がブランド力の源。
KTMはもちろん、ハスクバーナ・モーターサイクルズ、GASGASの車両を持ち込み、触れられる機会を提供することで存在感を向上したい。
「ただし日本国内市場では80%以上がストリートモデル」と目を光らせる西氏は、ロードスポーツのプロモーションを活性化する構えだ。モトGPでの活躍を通じてKTMを知ったユーザーに対し、モトGPマシンからインスパイアされた新型RC390を打ち出す。
方策としては雑誌やウェブの二輪専門メディアに加え、SNS(会員制交流サイト)や動画サイトを通じて情報を発信しようと検討している。
そして伝えたいことはストリートでもオフロードでも「それぞれモータースポーツからのフィードバックを活かしたバイクであること」「バイク好きによるバイク好きのためのメーカーであること」。これを実感して欲しいと考えている。
そのために有効であるのが、やはり試乗だ。西氏は同社ウェブ上から試乗予約できるよう、グローバルでの展開を開始したオンライン試乗予約システム「Book A Test Ride」の早期導入を本社に交渉し、アジア圏で初の導入を果たした。
「やはりオートバイは、見て乗って感じてこそ魅力がわかるもの。せっかくお客様が来店された時に『試乗車が出払っていた』という事で機会損失することは防ぎたい。この試乗予約システムによって日本でもどこまで来店・購入が増えるか楽しみにしている」
また商材としては20年4月よりWPサスペンションの販売、アフターサポートも展開。車両の販売に加えてアフターサービスでも収益を上げることが可能なビジネスとしてディーラーに提案していく構えだ。
販売網については空白エリアへの新規出店に加えて専売店化、既存店舗の大型化を推進。ブランドの認知度が上がるにつれ、専売店が成り立っていくと実感する西氏。21年も22年もこの方針に変化はない。
KTMだけでなくハスクバーナ・モーターサイクルズ、GASGASの販売網の拡充に取り組んでいきたいとしている。
2022年1月1日発行・二輪車新聞新年特別号「輸入車/2021年実績と22年抱負」掲載