「今回は、これまでイベントに参加して支えてくれたスタッフとのオフ会。気軽なツーリングという気持ちで来ています」という、主催者である東京都多摩市の二輪車販売店「ヤングオート」店長の五十嵐雅哉さん。同店は多摩市で今年創業40年という老舗の販売店で、五十嵐さんは同店の2代目でもある。

ツーリング地に選ばれたのは福島県会津エリアを走るJR東日本の只見線で、線路と並行した一般道を走るルートとなっている。当地を選んだのには理由がある。復興支援だ。同エリアは2011年の東日本大震災と同年に起きた新潟・福島豪雨の被害を受けた地域。只見線も一部区間が10年以上不通となっていたのだが、10月1日に全線運転再開となったことで、それに合わせた応援企画となっている。

画像: 只見線の乗客に手を振るツーリング参加者

只見線の乗客に手を振るツーリング参加者

五十嵐さんは福島県への復興支援をライフワークにしており、11年の大震災では「いてもたってもいられず何か力になりたい」と思い、同県の出身でもなく当地に縁やゆかりもなかったのだが、復興支援をするために手弁当で活動を開始。

「福島応援おんもしぇ祭り」というイベントをスタートさせて、その後は10年以上毎年福島に赴き“現地に出向いて現地で消費し、直接支援する”と“メディアを使ってイベントを周知していくこと”をテーマに掲げ、続けてきた。

二輪車を使ったイベントということで毎年多くの人が二輪車で参加。北は北海道から南は広島県まで、全国各地からライダーが集まる催しに。直近の開催では、地元の自治体はもちろん警察署までも協力してくれる一大イベントとなった。

ちなみにイベントで使用する小さな旗やステッカーなども製作していたのだが、それらにかかる費用も自分の小遣いから持ち出しで、昼食代も削って賄っていたという。今年から福島応援おんもしぇ祭りは別の人が担うことになったのだが、今回のツーリングでは、当時からイベント運営のスタッフとして支えてくれた人との再会も兼ねたイベントだという。

画像: 今回のツーリングに参加したメンバー

今回のツーリングに参加したメンバー

「手を差し伸べるきっかけに。つながりが拡がっていけば」

「東日本大震災が起きた年には会津もそうですが喜多方でも、水害による甚大な被害が発生しました。秋田県でも同様な被害が出たと聞いています。これまで行ってきた復興支援もそうですが、誰か困っている人がいたら手を差し伸べたいし、そのきっかけを作りたい。そうした繋がりが拡がっていくのが良いなと思います。参加してくれた地元の人とは久しぶりに再会できました」と五十嵐さんは述べる。

画像: ヤングオートの五十嵐店長

ヤングオートの五十嵐店長

当日は総勢11人のライダーが参加。参加者には地元会津在住の人もおり、当地で二輪車の愛好者で構成される『福島スポーツカークラブ』の事務局である長沢清志さんと仲間である磯目泰彦さんは、五十嵐さんと福島おんもしぇ祭りを一緒に盛り上げてきた仲間だ。

「東京から支援のために来てくれており、自分たちも何か手伝うことがないか、ということで、五十嵐さんとはイベント当初からの付き合いがある。また、地元としても遠くから参加してくれた人たちに楽しんでもらいたいという気持ちがあった」と、長沢さんと磯目さんも当時のことを振り返った。

長沢さんは当日、レストアしたばかりというホンダCB550FOURで参加。磯目さんは普段から乗り込んでいるというホンダNSR250Rで参加。いずれも快音を響かせて、ツーリング集団の後続を務めていた。

参加した人の中には運営スタッフとして、ほぼ毎回参加した女性ライダーも。ヤマハのセロー250が愛車のヤングオートの常連でもある金城万里奈(まりな)さんは兵庫県神戸市出身で、95年の阪神・淡路大震災では実際、被害に遭われたという。その時は多くの人に助けられたそうで、その経験から参加を続けてきたと振り返る。

「東日本大震災が起きて復興支援を五十嵐さんが始めたと聞き、1回だけはイベントに参加できなかったのですが、それ以外は毎年参加しています。(自分が過去に)助けてもらったことで困っている人に何か恩返しをしたいという気持ちがありました。バイクで参加することで恩返しになるのと、バイクに乗るのが楽しいということもあり参加しています」と打ち明けてくれた。

イベントを主催する五十嵐さんは、自らを根っからの世話焼きだという。「ただの世話焼きなんです。昔からそうです。お客さんからも仕事以外の相談にのる事も多く、この前なんかは恋愛相談で夜中まで相手していましたから」と笑う。世話焼きは今後も続きそうだ。

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