住宅から港湾施設、はたまた退役した鉄道車両のサビ止めに広く実績を持ち、二輪車・四輪車のエンスージアストにも愛用されている水性塗料がある。油性ではなく、水性のサビ転換塗料だ。サビの上から塗れば、赤サビ(Fe2O3)の根元まで浸透。サビ転換剤と水、空気が反応することで黒サビ(Fe3O4)に転換し、進行を止めるという。水性であるが故に安全性が高く、手軽に取り扱えることも手伝い、近年では南海部品、2りんかんといった二輪車用品店でも見られるようになってきた。

現在13期目の㈱BAN-ZI(千葉市)の看板商品で、名を「サビキラープロ」という。

画像: 自身も「リターンライダー」として林道ツーリングなど楽しむ。地方出張に愛車で出かけることも

自身も「リターンライダー」として林道ツーリングなど楽しむ。地方出張に愛車で出かけることも

「賛否両論ある製品名だが、自社ブランドとして真面目に育ててきた。起業して間もなく商標登録し、OEM(自社でなく販売元のブランド名で供給)なら取り引きするという大手企業の提案をお断りしながらも実績を積んできた」

創業社長の宮原万治氏は述懐する。サビキラープロを自ら開発し、取引先を開拓してきた。化学の専門家ではない。ノービスライダーとしてTZ250を駆りレース活動する傍ら、若くして建築業を営んできた。やがて渡米し、紆余曲折を経て輸入住宅に携わるように。その過程で知り得た技術をベースに、地道に実験を繰り返してきた。

「ロードレースをやめてからは二輪車に乗ることはなく、仕事に明け暮れていた」

そう振り返る宮原氏。創業期は自宅で実験・生産・梱包・発送までこなした。商品パッケージは妻が慣れないパワーポイントを扱って作成し、いまも継続使用しているもの。実姉が発送を手伝ってくれた時期もあった。

「起業して間もない頃は自宅から試供品を持って電車で営業に回った思い出も」

いまなお改善を繰り返してもいるが、サビ転換の技術には確たる自信があった。やがて3期目となる12年11月には、サビキラープロがホームセンターの店頭に登場。当初は2店舗のみであったが、徐々に全国へと広がってゆく。

サビキラーが建築業者の支持を得た最大の要因は、従来のサビ転換剤と異なり塗料となっている点にある。通常、サビを止めるにはまず「ケレン作業」が必要。サビをきれいに落とし素地を出してから、下塗りを始めるのだ。しかしサビキラーがあれば、浮きサビだけ除去し、その上に直接塗布するだけで赤サビにしっかり作用。進行を止め、再発リスクを抑え続ける。結果として最低限の工数で、長期間にわたりサビ対策から解放されるのだ。

水性であるメリットも大きい。油性塗料と違い、塗装部分が湿っていても塗装することができるため、朝露や夜露も気にせず作業に取り掛かることができる。工期が圧縮できるわけだ。また溶剤臭がないため場所を選ばず、作業する人の健康を害することもない。引火の心配もなく安全に保管でき、シンナーでなく水道水で希釈でき用具を洗えるといった手軽さもある。

そんなサビキラープロに加え、同社は素地や環境に優しい中性のサビ除去剤もラインアップ。これらが二輪車や四輪車にも使用されていると3~4年前に気づいたのだという。

「通常、ホームセンターの客単価は2500円程度だと聞く。しかしサビキラープロは発売当初6000円(1㎏缶)と比較的高価。プロでなく個人の購買動機は何かと探っていくと『性能』であることが分かった。高価な旧車、大切な愛車に使っていただけている様子がSNSを通じて見えてきた」

新型コロナウイルスが猛威を振るい、二輪車やアウトドアが脚光を浴びる少し前の時期だ。

二輪車業界への進出を後押しする出来事もあった。著名なライダー/ドライバーである宮城光氏と知り合い、18年のボンネビル・スピードウィークで行動を共にしたことだ。

米ユタ州の塩湖を舞台に世界最速を競うこのレースで、宮原氏は14年より「F-5スピリッツチーム」をサポート。塩害からマシンを守る役割を担っていた。宮城氏もまたチームオーナーのサム岡本氏と面識があったことから、18年、ゲストドライバーとして参戦することに。三者が手を携えたこの年、岡本氏の駆るマツダMX-5ミアータ(ロードスターの北米仕様)が初めて280㎞/hの壁を打ち破ったのである。

画像: 185年、米ボンネビル・スピードウィークで。左より宮原氏、宮城氏、岡本氏

185年、米ボンネビル・スピードウィークで。左より宮原氏、宮城氏、岡本氏

「レースウイークを共に過ごすうちに宮城さんと意気投合した。さまざまな話をするなか、本格的に二輪車業界にも貢献していこうと」

そして帰国後に再会を果たし、宮原氏は宮城氏にBAN-ZIブランド公認アンバサダーを依頼。宮城氏はYouTube「BAN-ZIチャンネル」に出演するほか、人脈を生かしての営業支援、商品名などのアイデア出しも精力的に行っている。BAN-ZIに全幅の信頼を置いているという証左だろう。

画像: 同社YouTubeチャンネルでは宮城光氏がたびたび登場。二輪車ユーザーへのPRに一役買っている

同社YouTubeチャンネルでは宮城光氏がたびたび登場。二輪車ユーザーへのPRに一役買っている

そんなBAN-ZIが目指すのは、日本で生み育ててきた品質が世界で認められること。既にサビキラープロを中心として米国、オセアニアへと進出を果たした実績もある。二輪車業界においても、やはり国内外で旋風を巻き起こしたい。その一歩として、今年は初めて大阪・東京モーターサイクルショーに出展する。宮城氏もブースに駆け付ける予定だ。

▼サビ転換塗料「サビキラープロ」シルバー/ガンメタ=50g 1804円より
▼燃料タンククリーナー「サビキラー強力サビタンキラー」=1L5940円 ※漬け置いて使用
▼サビ除去剤「サビキラー強力サビトルキラー」=ジェル100ml 1837円/スプレー300ml 3025円 ※吹きかけて使用
▼防錆塗料「サビキラーサビンラップ」=100ml 2618円/400ml 5654円(価格はすべて税込)

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