(※2024年1月1日付「新年特別号」掲載記事)
「お客様のニーズに合致した商品をリリースできていることが一つ。そしてディーラー様のCI刷新など、継続してきている施策が間違っていなかったと証明できた」
同社社長に就任して24年で4年目を迎える大貫陽介氏は、充実した表情で語る。青基調から黒基調へのCI刷新は22年半ばで国内全店舗完了したという。
ディーラー数も着実に増えている。23年は新たに鹿児島市、石川県金沢市、長野県松本市、そして埼玉県川口市に出店。全国31店舗の販売網に育った。なお川口市では24年6月の路面店オープンに先駆け、23年12月14日より商業施設内にてポップアップストアを営業している。
「トライアンフの世界観を身近に感じていただける機会ができることは有効だ。とはいえ、まだお近くにディーラーがないという方も多い。この先数年は、今まで以上に急ピッチで店舗開発を行っていきたい。一方で、需要を飽和させぬよう配慮しながら拡充していく」
「現在、輸入バイクの販売台数は1店舗あたり100台未満が平均と見られる。トライアンフでは1店舗あたりの平均で130台強を販売している。問い合わせ件数も順調に伸びており、収益性の高さは期待していただきたい」
23年6月にトライアンフ松本がオープンした際は、英国本社よりニック・ブロアーCEOとポール・ストラウドCCOが来日。セレモニーの場で、「トライアンフは24年6月までの1年間で、6機種以上の新型車両の発売と、6つの既存モデルのメジャーアップデートを予定している」と発表した。
そのうち2機種が、来たる1月25日に日本デビューを果たす、スピード400とスクランブラー400X。普通二輪免許で公道を走らせることができる、初めてのトライアンフだ。2機種とも既に目標の受注数は超えて、トライデント660発表時のペースをも大幅に上回るという。
多くの人にとって身近なブランドとなっていくトライアンフ。直近の自社調査でも、認知度が格段に向上している。
「しかし競合他社に比べれば、まだまだ低い」とする大貫氏は、これからも、その伸びしろを活かしていく構えだ。
業界としては23年下半期、特に9月以降など逆風にさらされている感はある。しかしそんな中でもセールスは昨年比プラスを維持している。リリースした商品、例えば限定販売中の「ステルス・エディション」8機種、スラクストン・ファイナルエディションも好評。スクランブラー1200も出足好調という。
23年を振り返れば本紙「全国販売台数上位40機種」でも、ボンネビルやスクランブラー、スラクストンといった2気筒エンジンのモダンクラシックラインはお馴染みだ。その一方で、トライデントやストリートトリプルといった3気筒エンジンの機種もランクインする月が増加。なかでもフルモデルチェンジを受けたストリートトリプル765シリーズは、前年比2倍以上売れたという。
2気筒機種と3気筒機種の売上比率では、現在6:4。「これが半々くらいになるといい。主力のモダンクラシックは守りつつ、3気筒機種も引き続き育てたい」というのが方針だ。
24年も前述の通り新型投入ラッシュは続く。1月25日にスピード400、スクランブラー400Xのジャパンプレミアがあり、3月のモーターサイクルショーでは大幅に規模を拡大して出展予定だ。他にも具体的な予定があるようだが、「ここではまだ言えない」とのこと(※1月9日にデイトナ660を発表)。いずれにせよトライアンフにとって新たな挑戦の年。「我々が今まで見たこともなかった領域にチャレンジする」と、大貫氏も力を込める。
その勢いを削がないためにも、ディーラー各店の人材確保をサポートするなど施策は準備しているという。
24年も市場環境は厳しいと見られ、モノ消費からコト消費へのシフトも逆戻りはしないかもしれない。そんな中でトライアンフMJとしては、トライアンフならではの楽しみを打ち出したい。
「その一つがDistinguished Gentleman's Ride(DRG)。メンタルヘルスや前立腺がん治療のための研究をサポートすべく、世界各地でライダーたちが粋なスタイルでクラシカルなバイクに跨り、パレードランしながら募金を呼びかけるチャリティイベントだ。トライアンフはこれに賛同し、サポートしてきた」
パートナーシップを結んで、23年で10年目。世界中のトライアンフスタッフ、ディーラー、ライダーたちが参加した。12年の第1回大会から累計で4400万米ドル以上の募金が集まり、メンタルヘルスや前立腺がん治療のための研究に役立てられているという。
24年のDRGは5月19日(日)に予定。トライアンフ・ナショナルラリーなど他のイベントと同様、このDRGにも参加を呼び掛け「トライアンフだからかっこいい」と実感、演出できる機会を増やしたいと大貫氏は語る。