本記事は2025年1月1日発行の本紙「新年特別号」に掲載したものです。

ドゥカティジャパンのリンドストレーム社長
さて日本での市販車販売についてドゥカティジャパン社長のマッツ・リンドストレーム氏は、「ニューモデルが少なかった割には、悪くない販売台数。ハイパーモタード698モノも思った以上に多くのお客様に受け入れられた」と振り返る。
モタードというセグメントは、確かに日本ではそう大きなものとは言えない。リンドストレーム氏も国内導入にあたっては「ちょっと難しいかな」と思っていたことを打ち明ける。しかし日本に初入荷した8月には早くも小型二輪の販売台数上位40機種(本紙調べ)にランクインを果たす人気ぶりを見せた。

けん引役となったハイパーモタード698モノ
「1299パニガーレのLツインを片側だけ使ったシングルエンジンということで注目してくださったドゥカティファンから、乗りやすさに注目してくださったニューカスタマーまで」幅広いライダーが気に入ってくれたのだと喜ぶ。リンドストレーム氏自身も「通勤など街中を軽快に走ることができるし、400kmのツーリングにも出かけてみても驚くほど快適だった。モタード好きな方のためだけでなく、どなたでも使えるバイク」だという。日本仕様のシート高は欧州仕様よりも40mm低くしているのも奏功しているようだ。
ドゥカティの製品は硬派なスポーツバイクといったイメージも根強い。しかし、それはもう15年ほど前の話だとストレーム社長は説く。企業としてのストラテジーも変わった現在、「我々の製品ラインアップのほとんどは乗りやすさを兼ね備える。レースで培った技術も操縦安定性の向上に寄与しているので」と述べた。
24年のもうひとつ良かったトピックとしては『ドゥカティ デイ2024』を開催できたことだという。4月21日にポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(千葉県)で開催された同イベントには、1300人余り ドゥカティスタ(愛好家)が集まった。
同社はイベント開催にも精力的であり、3月30日には『スクランブラー・ザ・ランド・オブ・ジョイ2024』を開催。5月18日には『ドゥカティミーティング2024 withムルティストラーダオーナーズミーティング』、5月25日には『DRE(ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス)ロード・アカデミー2024』を開催している。25年も同社では、様々なセグメントでドゥカティを楽しむ場を提供する予定だ。
文化的な場でも、ドゥカティジャパンは活躍。10月に駐日イタリア大使館で開催された『イタリアンスポーツデイ』を同社がサポートしたのだ。

イタリアンスポーツデイにはドゥカティを駆るMotoGPライダーが駆け付け、激励された
例年6月に世界各国で開催される同イベントを10月にモビリティリゾートもてぎでMotoGP日本グランプリが行われるタイミングで開催。元サッカー日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏らに続き、MotoGPでドゥカティを駆るエネア・バスティアニーニ選手とフランコ・モルビデリ選手も登壇すると大きな拍手に包まれた。
「バイクファンでない方々にも、ドゥカティというブランドを知ってもらう素晴らしい機会となった」
リンドストレーム氏は顔をほころばせる。

24年の日本グランプリでもイベントを開催。話題を呼んだ
そして25年。まず1月にはパニガーレV4が発売となる。スーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦する最先端機種だ。その兄弟機種であるストリートファイターV4も追って国内導入が予定される。
そして従来型を17㎏下回る、脅威の軽量設計で話題のパニガーレV2。これも25年春には国内導入予定であり、やはりストリートファイターV2も国内ラインアップに加わってくる。

EICMA2024で新型パニガーレV2が発表された
国内販売網は24年に1店舗増え、45店舗に。
「まだ国内に開発可能なエリアがあるので、今後も募集を続けたい」という。あわせて各ディーラーへの技術系、営業系、金融系トレーニングといった支援も継続中。東海道新幹線の新横浜駅近くにあるドゥカティジャパン本社内には、トレーニング用ワークショップやミーティングルームが備わっており、いつでも研修を行うことができるのも強みだ。
「25年は未発表の新型車も出てくる。我々としてもディーラー様をしっかりサポートしていくので、頑張っていきましょう」
リンドストレーム氏は全国の販売網、そしてドゥカティファミリーに盛り上げていこうと訴える。