本記事は2025年1月1日発行の本紙「新年特別号」に掲載したものです。

▼ロイヤルエンフィールド(インド、以下RE)
PCIが正規販売輸入販売代理店となった20年以降は、メテオなど350cc機種を主力としていたRE。24年は650cc機種にも勢いが付き、全体の販売台数に伸長が見られる。
「販売内訳は、350ccのラインアップが7割。以前は8割を占めたが、今年は650ccが出揃ってきたことで、そちらが伸びてきた」
少しずつ350cc機種からステップアップするユーザーも出てきているようだ。例えば「メテオ350」などが初回車検を迎え、「スーパーメテオ650」「ショットガン650」に乗り換えるケースが生じているようだ。

648ccの並列2気筒エンジンを搭載するショットガン650
その流れを促すのがライセンスサポートキャンペーン。対象期間中に大型自動二輪免許(MT)を新規取得してRE製品を購入すると税込5万5000円を免許取得費用の一部としてサポートするものだ(普通二輪免許の場合も3万3000円サポート)。
「ライセンスサポートの利用動向はしっかり追っている。やはりサポートがあることで大型二輪へのステップアップを思い立ったという方は多い」
「まだまだREの認知度は高くないが、ウェブでの自然検索から全国店舗へお問い合わせいただくのが主な経路。皆さまのご支持と、ディーラー様のご尽力に感謝するばかり」
全国販売網は24年にも4店舗増え、現在44店舗(サブディーラー含む)。ブランド体験型店舗を目指し、RE専用のスペースを設けて各モデルを展示し、試乗車も配備。アパレルやアクセサリーも専用の什器で演出し、「世界観を構築」することを依頼している。「訪れたお客様にガッカリされることがないように」という意図だ。そうした各店舗での努力が、成長につながっていると小松氏は感謝する。
一方、PCIとして現在尽力しているのは、輸入自動車特別取扱制度(PHP)の認証取得だ。
従来のRE製品は、すべて並行輸入自動車として登録されていた。届出書はじめ各種書類を陸運局に提出し、それらが許可を得てから、10台ごとに抜き取り検査を受けるという工程が不可欠。売れれば売れるほど、ここが納車前のボトルネックとなってくる。当然ながら納車までに時間がかかればかかるほど、販売側にとっては機会損失リスクが高まる。顧客はすぐにでも乗り始めたいのだから。
そんな環境が大きく改善された。350cc/450ccの型式についてはPHP認証を受けているため、先述の書類審査はなし。現在は100台ごとの抜き取り検査さえクリアすれば登録できるのだ。
「650ccの型式についても、このPHP認証を得たい。まずは50台ごとの抜き取り検査で登録できる体制を目指す」
高価格な製品が、より売りやすくなれば、自ずと販売網への支援となる。なお現在100台まで一度に登録できる350cc/450ccの検査も、実績を積めば上限300台まで引き上げられる。売れただけ速やかに納車できる環境が一層整い、顧客満足度を上げることができるのだ。
さて25年については、EICMA2024(ミラノ国際モーターサイクルショー)でお披露目された各モデルの導入に期待。商材や話題に事欠かない年となりそうだ。

人気機種クラシック350
▼マットモーターサイクルズ(イギリス、以下マット)
英国のカスタムビルダーが立ち上げたマットは、空冷250cc/125ccバイクで日本にも数多くのファン(Mutter)を獲得してきた。
24年は新たに水冷機種「DRK-01」250ccおよび125ccを発売。造りの良さもあり、新しい顧客を呼び込んでいるという。

水冷エンジンを搭載するDRK-01
「水冷機種のお客様とはいえ、やはりMutter。マットの世界観がお好きで『パッケージングされたカスタムバイク』をお求めになっている。空冷機種を購入された方々と同じように、そのまま手を加えず乗り続けてくださる傾向が強い」
今後は空冷から水冷へ移行を進めるのか、あるいは併存していくのか。手探りの状況が続きそうではあるが、セールスを担う小松氏としては「日本で人気の『モングレル』や『アキタ』の水冷版がリリースされれば、ぜひ国内導入したい」と語る。
全国販売網は31店舗。各店でバーミンガムのモーターサイクルズスピリットの世界観の表現を志向しているという。