本記事は2025年1月1日発行の本紙「新年特別号」に掲載したものです。

PSJのミクラウス社長
▼ベスパ(イタリア)
「『GTS』『GTV』をはじめ全ての機種で前年を上回るセールスとなった。24年は大満足」(ミクラウス氏)。

ベスパの人気機種プリマベーラ150
この好調を受けて25年モデルは「全てのラインアップを大事にしたい」ところ。強いて言うならば、新しくなった「プリマベーラ」「GTS」には力を注ぐ。「GTV」についても新色が出るので、期待したいという。
また干支にちなんでポップなウサギが描かれた「ベスパ946 '10アニベルサリオ」(23年/日本限定7台、税込165万円)、龍のグラフィックを大胆にあしらった「ベスパ946 ドラゴン」(24年/日本限定14台、税込198万円)に続き、25年はヘビをテーマとする特別限定車を用意。第1四半期にリリースしたい。
▼モト・グッツィ(同)
「23年に比べると少し難しいところはあったかもしれない。ただ24年も特別に悪い数字でもないと見ている」(ミクラウス氏)
好調だったのはV7シリーズ。中でも業績に貢献したのは、レトロデザインなカウルをまとった「V7ストーン・コルサ」、モト・グッツィ公式コミュニティの10周年を記念した「V7ストーン・テン」だった。

モト・グッツィのオーナーやファンの公式コミュニティである “Moto Guzzi The Clan” の設立10
周年を記念して発売された特別仕様車V7 STONE TEN(V7ストーン・テン)
25年の注目モデルは、EICMA2024でも紹介された「V7スポーツ」。その名が示す通り、フロントに倒立フォークやダブルディスクブレーキなどを備える走り重視のモデルだ。日本導入は「少し遅れるかもしれない。6月以降になるだろう」とのことだ。
一方、24年にモデルチェンジしたアドベンチャーモデル「V85TT」はトラベル仕様に加え、スタンダード仕様が発売予定となっている。
▼アプリリア(同)
「24年に国内導入できなかったRS457が25年の最重要モデルになる。400ccクラスが盛り上がっていることもあり、力を入れたい。各ディーラーで試乗できるよう、体制を整える」(ミクラウス氏)
アプリリアからは先にRS660も発売されているが、RS457は比較的リラックスできるライディングポジションであるなど、幅広いライダー向けとなっているようだ。乾燥車重159kg、最高出力47.6HP(欧州ではA2ライセンスで運転できる上限)というパワーウエイトレシオが売りとなる。2月より順次発売予定だ。

日本でも2月より発売されるRS457
また、アプリリアといえば25年のMotoGPシーンに注目が集まるだろう。前年王者のホルヘ・マルティン、そしてMoto2クラスを制した小椋藍の両選手がアプリリア陣営に加わるのだ。
「小椋選手の物語、活躍については、SNSなどを通じて紹介していきたい」とミクラウス氏。彼の注目度を活かし、日本市場でさらなるプレゼンス向上を期す。
以上3ブランドの全国販売網は現在、ベスパ39店舗、モト・グッツィ39店舗、アプリリア38店舗。新規店の増加もさることながら、ピアッジオグループのCIに準拠したディーラーを増やすべく既存店のリニューアルも進めていく。
その象徴となるのが、24年9月にオープンした「アプリリア モト・グッツィ ベスパつくば」(茨城県)だ。3ブランドの専門店で、ショールームにはそれぞれの主力機種やアパレル、什器が世界観を演出。サービス体制も充実している。

茨城県つくば市にオープンした新店舗
運営会社は国産二輪銘柄で実績のあるアンフィニグループ。同店舗を設立するにあたり、イタリア本社の声も取り入れたという。
「綿密なコミュニケーションで関係を構築し、素晴らしい店舗ができた。125ccスクーターから1100ccのスーパースポーツまで幅広く取りそろえ、アドベンチャーバイクも用意している。欧州メーカーとして稀有なピアッジオグループの強みを、こうして体現していきたい」
ミクラウス氏は、今後も各ディーラーと協力関係を深めながらブランドを築いていく考えだ。既存客に好評を得ているメンテナンスキャンペーン、各店舗での試乗会、またクローズドコースでの走行会やコミュニティイベントのサポートも積極的に行っていく。