BMWグループジャパン・モトラッドのリー・ニコルスディレクターは、2021年の販売台数について目標6000台には届かないものの、過去最高台数で着地する見込みだと明かした(2021年10月時点)。
「21年は半導体不足や入荷遅れによる厳しい状況下ではあったが、BMWモトラッドが過去最高のセールスレコードを打ち立てることができそうだ。これが最大のポジティブなトピック。コロナ禍において素晴らしい結果を出しているのは素晴らしいこと」
そこに貢献した販売網サポートは、4年ほどかけて取り組んできたプロジェクトである。よりメカニックとして技術向上を図るトレーニングに加え、マーケティング理論の導入も重視する。小規模なディーラーなどオートバイへの情熱は強く持っているが、ビジネススキルなどでは改善できる余地がある。そこで一人ひとりがよりプロフェッショナルになるべく、さまざまな改善に取り組んできたという。知識、マネジメント、ビジネスの領域でそれぞれ指標(KPI)を設け、より収益を上げるスキルを高めてもらっている途上だという。
「この4年間、いくつかの指標にフォーカスしてきた。販売目標台数やアフターサービスのKPIを達成していただくことでボーナスを付与し、収益の足しにしていただくという施策も打った。その結果、KPIを設定より高く達成してくれたディーラーが(感覚値ながら)15%はあったように思う」
ビジネスマインドセットをしっかり持ち、よりターゲットにフォーカスした運営。それにより日々漫然と過ごすのではなく、ターゲットを達成する意識の下、運営するようBMWディーラーは切り替わった。
とは言え100%上手くいっているわけではない。現状で時間の使い方が最も効率的かといえば、違う。例えばメカニックが未だに運輸局へ車両を持ち込み、車検を通すなどを行っている場面がある。本来の業務にフォーカス出来ているわけでない。まだまだ改善の余地はある。
21年は日本市場に、ユーロ5の切り替えも含め16モデルを投入した。その中でもけん引役はR1250GS。GS誕生40周年でもあり、記念モデルカラーも導入されるなど、台数を伸ばしているカテゴリーだ。
アドベンチャーだけで年間600~700台、全体の10%ほどを占める。このカテゴリーで追随するメーカーも数多くなってきているが、BMW本社としてもまだ伸びていくセグメントと見ている。
購入ユーザーの平均年齢が上がってきているなか、GSオーナーの欧州平均は45~50歳くらい。その上でロードスポーツから乗り換えるニューカマー世代からも支持を得ているという。
「オールラウンダー性が魅力となっているのではないか。我々もキャンプのイベントもやっているが、そうした楽しみを仲間と共有できる面がある」
日本でもやはりGSオーナーは45~50歳がコア層。若いユーザー層の獲得は全ブランドにとってのテーマであり、業界全体として進めていくべきものと、ニコルスディレクターは考えている。
そんな中で浮上してきたのが、コロナ禍での通勤手段を公共交通機関から二輪車に切り替えるムーブメントだ。これをきっかけにその楽しさを知ってもらいたい。「我々もイベント開催など通じてサポートしたい」という。
そこで22年の取り組みだが、好評を得ているライセンスサポートプログラムを継続する。BMWがラインアップする車両の購入者に対して、免許取得費用の一部をサポートするものだ。
年間で9~10%のオーナーが、様々なモデルの購入に活用。最も多く使われているのは313cc単気筒エンジンを搭載した小型二輪モデルのG310Rだという。
22年の販売目標は、引き続き6000台の壁を超えることという。BMWグローバルの3%ほどとなるが、これをしっかり上積みしていきたい考えだ。
2022年1月1日発行・二輪車新聞新年特別号「輸入車/2021年実績と22年抱負」掲載