モデルチェンジしたスクランブラー・シリーズ「アイコン」「フルスロットル」「ナイトシフト」の日本導入が遅れてしまったことを除けば、製品の入荷も概ねスムーズだったようだ。
インタビューを行ったのは23年11月末であったが、その際も「まだまだ12月も頑張る」と、ポジティブであった。
製品面でいえば23年は迫力あるクルーザー「ディアベル」も進化した。V4エンジンを新採用しつつ、14㎏の軽量化を果たすなど一新。日本では3月にアンダーズ東京(虎ノ門ヒルズ)において華々しくローンチパーティーが開かれた。
ディアベルV4は、自身も大のバイク好きであるリンドストレーム氏の評価も上々。「ドゥカティらしくスポーツバイクのハンドリングとパフォーマンスを発揮する。ブレーキ性能も素晴らしく、ワインディングでも楽しめる」とのことだ。
マッシブな外観により顧客属性としては男性が主。「リラックスして乗りたい」「ツーリングにも行きたい」といった動機でスーパースポーツから乗り換える動きが目立つという。
ドゥカティといえばスーパースポーツを思い浮かべたのも、今は昔というべきか。前述のスクランブラーやクルーザー、アドベンチャーモデルなど幅広いラインアップとなっている。
これに伴い、ドゥカティ・ライディング・エクスペリエンス(DRE)も多様な形で開催。幅広いライダーが運転スキルを高めるDREロード・アカデミー、プロライダーがサーキット走行を直伝するDREレーストラック・アカデミー、オフロード初心者を対象としたDREアドベンチャー・アカデミーをそろえている。
一方で先に触れたように、ローンチパーティーを開くことで新たなブランド発信も試みている。23年は3月のディアベルV4発売時、10月のスクランブラー・シリーズ発売時に開催し、盛況となった。
「来場できなかった方々からも『行きたかった』『来年もまた開催を』といったポジティブな声が聞かれる」
リンドストレーム氏も手ごたえを得ており、24年は詳細未定ながら「東京だけでなく他の都市でも開催したい」と語る。
販売網の拡充も引き続き進めており、23年も新たに5店舗がオープンした。その一つドゥカティ兵庫については、かつての既存店が撤退してから十年以上を経ており、出資者と共に「長期的なプランを立てて出店にこぎつけた」と、リンドストレーム氏も感慨深げだ。
これで45店舗の販売網に成長したわけだが、規模の拡大だけでなく他にも嬉しいことがあるという。
「例えば新店舗オープン時には他のディーラー社長たちがお祝いに駆け付けるなど、ファミリー的な付き合いがあるのもドゥカティならでは」
「各ディーラーのメカニックも少し増えてきている(採用できている)。ディーラー各社がきれいな売り場、作業スペースを設け、働きやすい環境を皆で整えてきた影響だろう」
もちろんドゥカティジャパンとしても、手厚くサポートを続ける構えだ。
「技術的なトレーニングはもちろん、営業スキルや(ローン提案など)ファイナンシャル面のトレーニングも継続していく」
24年も市場環境は難しいものになるかもしれない。と、予見しつつもリンドストレーム氏はこう言い切る。
「ドゥカティのラインアップは強い。開発力も本当に頼もしく、まだまだ面白い製品が出てくると期待している。認定中古車の販売も伸びていると聞いており、それは新たなドゥカティスタが増えていくということ。その上でディーラーの皆さんが元気に頑張っていく以上、私の見通しはほぼポジティブだ」