ファンティック、ランブレッタ、SYMの3本柱に加え、2022年は6ブランドを導入したモータリスト合同会社。東京モーターサイクル(MC)ショーにもブースを構えるなど、本格始動2年目となったこの年は一段とギアを上げた印象がある。が、野口英康代表は「やりたいことはまだまだある」と満足してはいない。
数多くのブランドを導入し、電動二輪車などオリジナル商品も手がけているのは単なる成り行きではない。ファンティックを扱っていたり、ランブレッタを扱っていたり、その両方を販売していたり、あるいはSYMだけを扱っていたり――。約100店舗ある取引先が、それぞれ利益を上げられるよう「自信をもって扱える商品、収益の支えになる商品を少しずつ加えているに過ぎない」と語る。ここで各ブランドの現状と展望を整理しよう。
▼FANTIC:ファンティック(イタリア)
趣味性が高い主力ブランド。「ファンティックから取引が始まる販売店様は、傾向として他社の専売店を運営することもできるであろう(体力のある)方が多いように思う」と、野口代表。そうした販売店がいつしか「モータリストの商品だから」というスタンスで取引を広げるケースもあるという。キャバレロシリーズについては先頃EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)で新たに700cc版が発表され、これも注目される。
▼Lambretta:ランブレッタ(同)
17年に復活した老舗スクーターブランドも、モータリストにとって主力の一つ。旧来のイメージを生かしつつ、現代のデザインテイストを取り込んだ意欲作が目立つ。
「たとえば23年6月発売予定のX125など、尖った商品づくりが目立つ。コミューターというよりファッションアイテム」。趣味性の高い乗り物として洗練されていくだろう、と野口代表は期待する。
▼Royal Alloy:ロイヤルアロイ(イギリス)
クラシックなランブレッタのデザインを受け継いだフル・スチール・ボディが魅力。先鋭化し、高価になっていくと見られるランブレッタを、いわば「補完する商品」として扱っていると野口代表。まずは空冷125ccのみ導入したが、空冷250cc、水冷125ccもある。機を見て追加導入する構えだ。
▼SYM(台湾)
取引先の中でも「比較的大きめであったり、歴史があったり」といった販売店が商品拡充のため導入するケースが見られるそう。「売る車両がない」「新車が入らない」と悩む販売店にとって今後も有用な商材と見る。
▼MOTRON:モートロン(オーストリア)
アドベンチャーなど様々なモデルをラインアップする新興メーカー。モータリストとしては電動二輪車のみ導入している。まだ知る人ぞ知る存在だが、「遊べる電動二輪車」として育てていく。
▼MALAGUTI:マラグーティ―(イタリア)
スポーツスクーター「ミッション125/200」を現車としては東京MCショーで世界初披露した。「ランブレッタやロイヤルアロイとは世界観の違うスポーツバイク/スクーターブランドとして育てていきたい」という。
▼FELO:フェロー(中国)
23年のマン島TTレース「TT ZERO」クラス参戦を目指す上海の新興メーカー。その技術が注がれた電動スポーツスクーター「FW-06」を22年9月、税込99万円で発売。「現状はユーザー様からの問い合わせが多いが、実は販売店様のマージンが大きい」と野口代表。未来志向なイメージを打ち出せる戦略的な商材と位置付けている。
▼VINS:ヴィンス(イタリア)/Langen:ランゲン(イギリス)
最高出力75hp(約76ps)を発生しながらも、ユーロ5に適合する2ストローク。これを搭載して公道走行できるという、ロマンに満ちたプレミアムロードスポーツだ。フルカーボンシャシーの「ヴィンス ドゥエチンクアンタ」は税込750万円/990万円。アルミ製パイプフレームの「ランゲン ツーストローク」は税込800万円。既に日本でも成約実績があり、入荷が待たれている。「SS(スーパースポーツ)が人気を博す日本ではヴィンスの方が売れるのでは」と野口代表は語る。