20年の二輪車市場は、コロナの影響を強く受けたが、二輪車の軽二輪車市場同様に、同社の業績は堅調で前年比で若干伸ばしたとする。ベスパは前年比で10%増、モト・グッツィとアプリリアも、ヨーロッパでの最初のロックダウンにより車両供給が若干遅れたが、前年をわずかに超えたという。困難な状況下で20年の結果は、非常に満足できたとしている。
アクセサリーおよびアパレル製品の販売でも、店頭およびオンラインショップの両方で、商品ラインナップの更新に絶えず取り組み、前年比で15%増加したとしている。
ただ、コロナの影響がなかったわけではない。部分的に航空便と船便が減少、特に3、4月は主にヨーロッパでのロックダウンの影響により車両、アクセサリー、交換部品の入荷がわずかに遅延。しかし、ベトナム本社や生産工場は、パンデミックの最中に閉鎖されることはなかったため、ベスパは計画通り供給されたと振り返る。
コミュニケーション活動では、当初計画していたユーザーへの体験機会の提供をベースに、販売の強化を挙げていたが、各MCショーや、イベントへ参加の機会が大幅に減少。ユーザーへのPRでは、主にウェブサイトやSNS、Eメールによるデジタルコミュニケーションへ積極的に改善、活用に注力した。
本社を含む会社でのコミュニケーションも、在宅勤務、オンラインでのコミュニケーションを余儀なくされた。慣れない状況だったが、結果は非常に良好で、予想以上に業務を運営できたとする。一方で、ディーラーと会う機会も大幅に減少。リスク軽減の予防措置として20年のディーラー会議は中止にした。
21年の二輪車市場に対して同社は前年よりも楽観視しており、柔軟な対応を目標に挙げる。20年同様にイベントや販促活動を実施し、モーターサイクルイベントへの参加、独自のブランドイベントや、ユーザー間のコミュニティを形成するミーティングが行えることを望む。状況は変化し続けている一方で、まずは安全とルールを順守し柔軟に対応する姿勢だ。
具体的には、昨年に続きデジタルを活用してユーザーと関係やコミュニケーションを維持しながら、リアルでは訴求イベントや催しの開催を見据えて、多数のアイデアを念頭に置いているとしている。ただ、すべてはコロナの状況次第であることを指摘。
一方、コロナでの販売環境下でも同社の使命、基本的指針はこれまで同様と強調する。ブランド価値を適切に市場へ伝えるため、ディーラーやユーザーとのコミュニケーション活動の向上が重要としている。
同時にディーラーへの各種トレーニングを改善、優れた顧客体験を提供するためショールームをアップグレードし続ける必要を挙げる。昨年は、ブランドを総合的に演出する店舗「Motoplex」を福岡に開設。21年には戦略地域で同店舗を開設したい考え。
2021年1月1日発行・二輪車新聞新年特別号「輸入車/2020年実績と21年抱負」掲載